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口が攣りそうです。




歳三さんの話を聞いて、恐らく彼らは今私達がいる世界とは別の平行世界の住人だと私と銀時は直感的に思った。偶然にも屯所への帰り道、喜助から聞いた平行世界のことを話していたから、直ぐに結びついた。


「ぱれ…ぱられ、わー…?」

「パラレルワールドでさァ。大丈夫ですかィ?呂律が回らなくなったババアみてェなイントネーションになってやすが」

「い、いんと…なんだって?」

「イントネーションだ。大丈夫かお前ら。いや、本当に」


そして、話し始めて早5秒。
ある程度文明や文化が違うと予想はしていたが、これほどまでとは思っていなかった。どうやら“彼らの世界”では横文字がないようだ。歳三さんの隣に座る左利きのお兄さんや総司さんが目を丸くしているのを、副長や総悟は本気で心配している。


「まーその話はソイツらの頭がおかしいってことで置いとけ。名前、続き話せ。つーか面倒な説明いらねェからとっとと終わらせちまえ」

「いや、そういう訳にはいかないでしょ。ていうかあんたは夕方からラヴとローズと飲みに行く約束してて早く終わらせたいだけでしょうが」

「げ…なんでバレてんの?」

「元護挺隊女子連絡網を舐めんといて。誰かの耳に入った瞬間天挺空羅だから」

「お前ら鬼道どんなことに使ってんの!?ていうかそれ連絡網って言わねェよ。一遍に伝わってんじゃねぇか」

「いや。言うよ?一人一人に天挺空羅で伝えるから」

「めんどくさ!!お前ら酷くめんどくさ!!」

「おかげで最近は詠唱破棄でいけます」

「マジでかァア!?良かったな!!」


と、銀時と脱線しかけていたら急に頭に痛みが走った。


「い゛っ…」

「くだらねェこと言ってねぇでとっとと説明しやがれ。平行世界がなんだってんだ?」


察しの通り副長の鉄槌が頭に落ちてきたわけだが、普通女の子の頭を殴りますか?左利きのお兄さんが驚いてるじゃないですか。まぁ、それは置いといて。


「今自分達がいる世界と時間軸的に平行に走る別の世界…これを“パラレルワールド”と呼びます。この平行世界は決して他の世界と関わりがないわけじゃありません。むしろ…」

「…密接に関わり合っている、か?」

「そうです。えーっ、と…」

「斎藤一だ」


さっき私が副長に殴られた時に心配そうな顔してくれた人が、途中で言葉を引き取った。見た目通り理解が早いらしい。名乗ってくれたので、ありがとうございますとにっこりと笑うと彼も微笑みかけてくれた。やっぱ、イケメンは違うわ。


「では一さん。貴方は“もしもあの時こうしていれば”と思ったことはありますか?」

「……まぁ、ないとは言い切れんな。過去に四、五回はあった」

「その“もしも”と悩んだ分だけ、平行世界は存在します」


そう言うと室内はざわめいた。恐らく今までの人生の中での“もしも”を思い返し、驚いているのだろう。


「…いいですか?皆さん。ほんの小さいものも含めれば、恐らく百はある筈です。一人につき百。これが日本全国民約八千万人分集まり、且つこれが掛け合わさったとしたら…どうなると思います?」

「………凄い数だな」

「はい。詳しく言えば百の八千万乗…あまりにも非日常すぎる数字です。歳三さんの言ったように“凄い数”と表した方がしっくりきます。そしてその“凄い数”の中の一つが、私達が今いる世界です」


どうやらここまでは納得出来たようだ。全員が同じく一様に驚いた顔をしているのはその証拠だろう。


「そして、平行世界は他の平行世界と交わることは絶対にありません。“平行”というぐらいですしね。もし…そんなことが起こればその二つの世界は消滅します」

「しょ、消滅!?そんなこと…」

「まぁ予測ですがね。…でも、本来事象的に起きてはならないこと。同じ時間を平行に走る世界とぶつかってしまえば、同時に時間が二つ現れることになる。これはありえないことだし、事象を超えてしまうことだ。そんな神の所業をも上回る謂わば、禁忌の領域に人間如きが踏み込むことが許されるわけがないだろう。私らですら身の毛がよだつ話…」

「名前」


世界観なんて話してたから思わず“死神”の視点になってしまった。戻してくれた銀時に目でありがとうと言って再び話を戻す。


「今、異なる平行世界同士がぶつかれば消滅すると申し上げましたが、世界の中身…つまりあなた方人間が移動するのはほんの些細なことなので何ら問題はないんです」


これを言った瞬間、副長達は勿論、歳三さん達も全員目を見開いて私を見た。
なんだ、案外理解が早いやないか。
異世界組の前列三人と後列一人と隅に座ってる短髪の忍装束の子は頭の回転は良さそうだとは思っていたが、後列三馬鹿と少女にはもう少し説明が必要かと思ってた。


「皆様理解が早くて助かります。そうです。とても説明のつかない、夢を見ている時のような急な場面変化…それは何らかの莫大な力が働いて歪められた世界の境界に、足を踏み入れてしまった結果なんでしょうね。

歳三さん達は、そうやって此処とは別の平行世界…異世界から来た人間なんですよ」























―口が攣りそうです―



(なんか喜助そっくりだぞ、お前)
(いや、喜助はこれに更に遠回し表現がついてくる)
(……ああ、そうだった。ややこしいって言って何回か殴ったことがある)
(私もやろうと思えば出来るんだけど…どうする?)
(ヤメテクダサイ)

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