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平行世界って知ってますか?ver…




歳三さんの怒鳴り声の効果は凄かった。一瞬で部屋の中は静まり返り、副長達も目を瞬かせていた。そんな中、歳三さんはゆっくりと口を開いた。


「お前…総悟とか言ったか」

「へい。総悟で構いやせんぜ」

「いいか、お前ら。総悟の言ったことは正しい。いくら俺らが知らない間に此処に迷い込んだと言っても、コイツらの私有地に入った時点で俺らは単なる不法侵入者だ。その不法侵入者を問い正すのは当然だし、ましてや取り調べ側が名乗るなどまずないだろ。……納得出来ねェんだったら自分達の立場で考えてみろ。屯所に無断で入ってきた野郎相手に自分から自己紹介するか?しねぇだろ。むしろ、手の早いテメェらなら手やら足やら刀が出んだろうが」


そう、それだ。私はそういう言い方にしたかった。
と思いながら総悟を睨むと、総悟は後ろから視線を感じたのか、首を竦める。それと同時に彼の顔には意外そうな表情が浮かんでいた。恐らく、歳三さんがこんなに柔軟な発想が出来る人だとは思ってなかったのだろう。


「で、でもよォ、土方さん。アイツら新選組って言ってんだぜ?……状況がちょっと違うっていうか…」

「それも逆の立場で考えてみろ、平助」

「へ?どういう…」

「仮にコイツらが本当に新選組だとして、さっき俺は新選組だと名乗った」

「…うん。……で?」


どうやら少年は頭の回転が鈍いらしい。歳三さんの額に一瞬青筋が見えたのは気のせいではない。隣のマフラー青年が少しは考えろと後ろに向かって囁いているのが見えるのがその証拠だ。


「よく考えてご覧なさい。君は総悟の口から真選組と出た時、“俺ァこんなヤツら知らねェ”と思った筈でしょ?…でも、十四郎さん達も君と同じことを思ってた。

“コイツは何言ってんだ。真選組は俺らだし、お前みたいな隊員は知らない”

って。お互いに自分を真選組と思ってるのなら双方にそういう認識が出るのは当たり前だからね。それが歳三さんが逆になって考えろと仰った理由だよ」

「え?……あ、あー!そっか!」


ここまで細かく言って漸く伝わったらしい。少年の顔にすっきりしたと書いてある。それをチラリと見た歳三さんが改めて目の前の副長に向き直ると、居住まいを正した。


「……俺達がどうして此処にいたか。信じられないかもしれないが、取り敢えず話を聞いて欲しい」

「…ああ。聞いてやる」

「感謝する」


そう言って話し出した歳三さんの言葉に副長と総悟、退の目が信じられないというように広がっていく。場所の特定が出来ない幻の縁日。突如目の前に現れた桜。その桜から感じた押し潰されそうな程の威圧感。急に夕方から昼へと景色が変わったこと。そして、中庭での交戦へと繋がるのだが、一遍に言われて信じろというのには厳しすぎる出来事ばかりで、話の終わりには副長の眉間に皺がこれでもかという程寄っていた。


「……と、いう感じなんだが此処へ来て更に謎が増えた」

「真選組、ですか」

「ああ…」


話を受け止め切れない前三人に対し、私と銀時は特に表情を変えなかった。歳三さん達と摩擦が生じた最大の原因と言っていいこの事に触れると、動きが止まっていた副長がピクリと反応した。


「貴方達のお話を綺麗さっぱり聞かせて頂いたので、自己紹介は此方から致しますよ。先程の喧騒を止めて頂いたお礼の代わりに…」

「いや。元より無礼なのは此方側。優先順位とは言え、身の上も明かさずに話してしまい申し訳ない。自己紹介も是非此方からさせて頂きたい。…な、いいだろトシ?」


怒鳴散らし、説明をし、恐らくこの集団のトップだと思っていた歳三さんにそう話しかけたのは、ずっと黙って傍観していた男だった。少なくともこの突然の介入に私は驚いた。いや、だって。この人今迄なんかしてた?ずっと後ろにいて、和やかムード出してただけじゃん。でも大将であるからこそ、殺されない様に潜めていたとも考えられる。恐らく、歳三さんの指示で。その考えの正解を出してくれたように、歳三さんは急に言葉を発した男に少し怒ったような声を出した。


「そこで出てくるか、普通。あんたのことを思ってそこにいて貰ったんだが」

「もうそんな必要もないだろう。なによりそこのお嬢さんは俺達の話を信じてくれたようだ」


それに一番驚いた顔をしたのは真選組。三人揃って目を見開いて後ろに座る私の方を振り返った。


「…い、いや…流石にちょっと怖いんやけど。ていうか副長、またそんなに瞳孔開きはって…怖いです。早よ閉めて下さい」

「お前…信じるのか?こんな話を」

「まるで出来の悪いアニメじゃねェか。まだ土方さんの恋人のトモエ5000の方がいいでさァ」

「誰が彼氏だ」


私と銀時が然程驚かなかったのは喜助の話があったからだ。だがその話は丸々十四郎に話せる程信憑性の高いものでもないので、一つ確実なモノに絞って話すことにした。


「歳三さんのお話から、ある仮説が考えられます」

「仮説?」

「はい。今から馬鹿にも分かりやすく説明するので一度で理解出来るように最大限の努力をして下さい」


最後はほぼポニーテール少年に向かって言ったようなものだ。隣の緑っぽい人が彼の肩を叩いて慰めている。それを見て軽く笑いながら立ち上がると、両者の間にある机の所謂お誕生日席と呼ばれるところで腰を下ろして口を開いた。





















―平行世界って知ってますか?―



(オイコラちょっと待て)
(なに?銀時)
(なに?銀時、じゃねェよ。何ページか前のタイトル読み返せ。全く一緒じゃねェか)
(じゃ、コレで)
































―平行世界って知ってますか? ver.名前―



(何が変わったんだよ何が)
(え?ほら、ver.名前って所)
(いや、なにドヤ顔してんの。名前ボンゴレリングみたいになってるだけだから)
(私は嵐の守護者かな。風関係してるっぽいし。銀時は雷で)
(なんでだよ。銀さんは雲だろ。孤高の浮き雲だろ)
(だってモジャモジャだし)
(ねぇ泣いていい?)

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