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鶴の一声。




「…さてと。まずてめェらが何なのかを教えて貰おうか」

「十四郎さん、それでは完全に尋問です。話し合いという枠を大きく外れてます」


お連れの方々に声をかけて頂けますか?
この言葉に意外にも従った歳三に促された不法侵入者達と名前達は、彼女専用に建てられたという離れの一室に集まっていた。机を挟んで向かい合って座っており、庭に面する側には十四郎を挟むように総悟と退、その後ろに銀時と名前。反対側には歳三を挟むように総司と一、その後ろに勇左之新八平助の順で並び、そしてやや斜め後ろに千鶴と烝が。という、机を境にやたらと人口密度が異なる配置となっている。そんな中、口火を切ったのが冒頭の十四郎の一言。それに間髪入れず突っ込んだのが名前だ。


「大きくねぇだろ。枠から少しはみ出した程度だろ。まだマークシート読み取れる範囲だろ」

「いいえ。マークシートの悪い例に載っている左から二番目のヤツです。もう読み取れません。更に言えば、十四郎さんはFのシャープペンシルを使用しているので初めから弾かれるタイプです。つまりアレですね。試験管の話を聞かずに試験上の注意を読まなかったが為に、百点が零点になってしまった哀れな受験生タイプです」

「………分かった。俺が悪かった」


若干うなだれている十四郎を余所に、隣に座る総悟が今のやり取りに少々唖然としている歳三達に話しかけた。


「ヤクザのようなお人でどうもすいやせん。他人に名を聞くならまず自分から、という常識すら消えてしまう程マヨネーズを毎日摂取してる野郎でしてね」

「オイコラ総悟。てめぇなに言っ…」

「こんな非常識人のようになるのは御免被るんですが、生憎と此処は俺らの敷地。それにあんた方のような団体が客人として来る予定もウチの優秀な補佐官からは聞いてねェ。つまりあんたらは招かれざる客人…不法侵入者ってことになる」


ふざけた空気は一転。部屋の中は一気に重くなり、ピリピリと肌に滲みるような殺気が総悟から滲み出始めた。それに反応して歳三達も殺気立つ。こういう空気は読めるが自身からは一切殺気などを出したことのない千鶴は平助と烝の後ろに庇われるようにして下がった。


「名前は優しいから遠回しにやんわりとしか言わねェが、俺ァはっきり言わして貰いやす。不法侵入者に先に名乗ろうとは思わねェ。むしろ多串さんが言ったような尋問が妥当だと思ってる」


そう言い切った総悟に名前は軽く溜め息を吐いた。
名前は総司と歳三と一度剣を合わせている。まぁ、一人は簪だったが。刀を交えることで相手の性格や考えていることは読み取れる。そこで彼女が気付いたのは二人に共通して心の大半を占める、“戸惑い”だった。殺気は充分に向いているのに何故戸惑っているのか。もしかしたら彼らもよく状況を理解出来ていないのではないのか。そう考えた名前は総司に対する敵対心をゼロにして、話し合いを設けようと働きかけたのだ。加え、大半の戸惑いと共に二人のプライドが高いという性格もなんとなく読み取っていたので、あくまで丁寧な態度と自分は下手に出ましょうという態度を貫いてここまで持ってきた。だが、付き合いが長い総悟には気付かれたらしい。本来の目的と、此方から名乗る気はないという意志をこうもおおっぴらにばらされると、流石に溜め息も出る。


「総悟。もう少し言葉を選んで。なんか色々台無し」

「なんでィ。こんなヤツら、名前が下手に出る必要なんてねェじゃねぇか。第一、土方さんに刃向けられて黙ってるなんて真選組一副長死守のお前らしくもねェ」


いや。そうなんだけれども。
あんた今大変なこと暴露しましたよね。
名前がそう思って、銀時が総一郎君ワザとだなと呟いた瞬間、侵入者側から声が上がった。


「新選組ィ!?」

「副長…?」

「土方って…オイ、どういうことだ!?」

「旦那、俺は総悟です」


最後に至ってはいつも通りのツッコミだが今この場面での挿入は全く以ていらない。むしろなんで入れてきたのかを知りたいぐらいだ。折角穏便にことを進めようとしていた矢先に総悟の暴走。出鼻を挫かれたことと予想以上にざわめく歳三達に、頭が痛いというように俯いた名前の肩を銀時が心底気の毒そうな表情でぽんっと叩いた。ちなみにその銀時の頭には未だに名前の羽織りが掛かっている。


「てめェら、いい加減静かにしやがれ!!」


十四郎と一が殺気立ち、総司が斬っちゃいましょうよと笑い、総悟が涼しい顔をし、平助がコイツら何なんだと叫び、新八が説明しやがれ女と怒鳴り、勇が二人を宥め、左之がでも怪しくヤツらですよと勇に言い、烝が刀の柄に手をかけ、退が酷く困惑している。
という負の連鎖が出来上がっていたそんな中。名前が、一番説得させるのが難しいと思っていた人物…歳三の口から思いもよらぬ一言が飛び出して来た。

















―鶴の一声―



(やっぱなぁ…)
(ん?どした名前?)
(いや、イケメン集団だなぁって思ってね)
(……銀さん達とどっちがイケメン?)
(歳三さん達)
(せめて一瞬は考えようか、名前ちゃん)

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