夢に見たあなたが笑っていたから


涙をこぼすぼくを見て、きみはいとおしそうに微笑むのだろう


無邪気に桜を追っていた


ぼくはぼくに生まれたことを後悔しない(だって君に会えたから)


蕾になって召し上がれ


永遠になってゆく残り香と指先と背中と


このまま待ち続けても彼は戻ってこないのだよ


それが遠退いても追ってはいけない


涙はしょっぱいからねと彼はとぼけてみせた


春めいた陽射しの下、臥せた睫毛をこぼれる陽溜まりに目を奪われたなら


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