心が潰れた音(甘)








お題サイトDOGOD69様より







※学パロ












ダムダム、キュッ、



ワアアアァァ!!





「こらっ!」

「わあっ」

「何ボケーっとしてるのよ」

「甲斐ちん」


体育館いっぱいに広がる音を片隅で聞きながら、私の頭のなかは彼でいっぱいであったのです。

甲斐ちんの声でやっと気が付いたくらい。


「まーた、ボケっとしてる」

「あんまりボケっとしてるとどっかの誰かさんみたいな顔になっちまいますぜ?」

「ちょっと、どっかの誰かさんって誰のことよ!」

「え?べっつにいー?例えだよう、例え」

「アンタねえ、その例えを言いながらアタシのこと見てたじゃない!」

「・・・にゃはん」

「うがーっ!待てこらああ!」


甲斐ちんとくのちん元気だなあ、なんて思いながらまたぼーっとする。

ていうか今、授業中なんだけれどね。


かくいう私も、プレーしている他の子たちの輪には入らず、隅でずっと見てるだけ。


「こっちこっち!」

「シュート決めろー!」

「フリーだ!」


だって、珍しいんだもの。



「毛利、くん」


教室か屋上で、涼しげに本を読んでいる彼が、汗をかいてみんなと一緒にバスケをしてる。

その姿がなんかかっこよくって。


思わずずっと彼だけ見ていて。




気が付かなかった。






「燐っ!!」






ボールが私の方に飛んできてたなんて。






「・・・ん?」

「あ、大丈夫かい?」

「・・・毛利、くん?」

「うん」


目が覚めたらなんでか毛利くんがいた。

てっきり甲斐ちんとくのちんがいて、鈍くさいなんて小馬鹿にされるんだろうな、って思ってたのに。


「あの、ごめんね」

「ううん、大丈夫」

「まだ痛むかい?」

「ちょっと痛いけれど、大丈夫だよ」

「長宗我部君、すんごい速さでパスして取れなかったんだ。ごめんね」





あの凄絶男、シメる。




「ううん、気にしないで。そういえば、今何時?毛利くんジャージじゃないってことはもう体育の授業終わったの?」

「あ、もう放課後だよ。燐さん、4時間くらい寝てたんだ」

「え、そんなに!?」



どんだけ早いパス出してんだ、あの凄絶野郎。



やっぱり、シメる。



「毛利君、この後部活だよね?私帰るね」

「え、大丈夫かい?」

「大丈夫大丈夫」

「ありがとうね。ずっといてくれて、じゃあ」

「あ、燐さんっ」

「え?」


「よかったら、いっしょに帰らないかい?」



部活はどうするの?


家おんなじ方向だっけ?




聞きたいことはたくさんあるはずなのに、口から言葉は出てこなかった。



笑った顔が、私を締めつけたから。








気が付くと、頷いていた。










end

((・・・あ、手))
((ぶつかっちゃった))

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