さくらさくら(甘)

「秀吉、桜見に行かないか?」



全てはこの一言から始まったのだ。




「謙信公ーーー!!!!」

「親方様ーーー!!!!」


「…元気だな、あの2人」

「…そうじゃな」


酒を湯水のように呑んで、すっかり出来上がっているのは真田幸村と直江兼続である。

自分たちが愛して(?)やまない上司の名前を天に向かって叫んでいる。


「…はぁ」


せっかく…

穴場を見つけて

やっと秀吉を誘えたのに

三成は気にするなと言ってくれた。

左近はニヤニヤしながらも見送ってくれた。

おねね様に至っては、頑張っておいでと言ってくれた。

ご自分の旦那様なのに。




せっかく…




「…燐」

「何?秀吉」

「すまんが少しばかり我慢しとれよ」

「え?ちょっ」


私を抱き上げ、桜の木を登っていく。

恐くて目を閉じてると、秀吉がもう大丈夫と言ってくれた。

目を開けた。


「…わぁ」



そこは一面、桜色だった



「燐…笑え」

「え?」

「わしはお前さんの笑顔が好きなんさ。そんなへこんだ面してんで、笑え!」


な?と優しく笑いかけてくれる秀吉。


いっつもキラキラ輝いている秀吉。

みんなの幸せを築こうとしている秀吉。




私の好きな秀吉。




「ふふ、綺麗」

「じゃろ?案外その方が綺麗に見えると思ったんさ」

「流石…頭いいね」

「まぁな」




「…秀吉」

「ん?」

「…ありがとう」

「…おう!!」






end
(ただ…今はただ)
(これでいいのかもしれない)

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