背中越しのラブレター(一護/甘)


※りぃ様キリリク












好きな人を目の前にして、暇だと言う私もどうかと思うけれど


好きな人を目の前にして、放置するのもどうかと思う。





「いっちごー」

「あぁ」

「ひまー」

「あぁ」

「聞いてる?」

「あぁ」

「・・・バーカ」

「あぁ」




ケータイが鳴って、ちょっと上ずりながらも話したのが三時間前。

どんな服を着ていこうと部屋をごちゃごちゃにしながらも一人ファッションショーを開いたのがその後。


一護の家に向かって猛ダッシュして、ぼさぼさになった髪をドアの前で整えたのが2時間前。

呼び鈴を鳴らして、出てきた私服姿の一護にドキドキして、通された一護の部屋にもドキドキしたのが一時間半前。


それから一時間半。



「いちごー」

「おー」

「ひまー」

「おー」

「聞いてる?」

「おー」

「・・・ハゲ」

「おー」



ずっっとこのまんま。

一護が呼んだんじゃん馬鹿。

って言ってやりたいくらい。



なによなによ、

せっかく一護の部屋に来れたんだもん。

もっと一護とイチャイチャできるのかもって思ってたのに。

舞い上がってたのが馬鹿みたいじゃん。



「一護」

「んー」

「暇だよー」

「んー」

「聞いてる?」

「んー」

「・・・はあ」



向けられた背中がなんだか寂しくて。

恋しくって。


いくら呼んでも、背中しか見れなくって。



「・・・」




い  ち  ご


ひ  ま




「・・・」



試しにその背中に文字を指で書いても返ってこなくって。


寂しさよりも悲しさがあふれ出してきた。




い  ち  ご




は  げ




「・・・はげてねえよ」

「気がついてたの?」

「気がつかねえ訳がねえ」




じゃあどうして振り返ってこっちを見てくれないの


どうしてずっと私を見てくれないの


私よりも大事なことなの



(・・・真っ黒い気持ち)




「ねえ、その雑誌おもしろいの?」

「ああ、まあな」

「何載ってるの?」

「服とかイロイロ」

「ふーん」



やっぱり上の空。

どうして?







い  ち  ご


ス  キ





私のことが嫌いになりましたか?




「一護・・・?」


「・・・ばーか」




気がつくと暖かい腕の中に包まれた。

一護の暖かい腕の中。



「悪ィ、無視してたわけじゃねえんだ」

「え?」

「その、えーっと・・・」

「?」

「どうしようかって悩んでた」

「どうしよう?」

「緊張してんだよ、」



お前を見ると緊張する



「一護、ばーか」

「はっ?馬鹿っておまえ」

「好き」




おう。




「俺も好きだ」









end

(あったかいね)
(そ、そうか?)

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