06

天海ちゃんが死んだ。
死体発見アナウンスを聞いたオレ達は図書室に集まっている。


ただ一人を除いて。

「あれ? 名字ちゃんはどこに行ったのかな?」
それを聞いて呆然としていた連中もハッとあたりを見回した。
「ま、まさか……?」

コロシアイが始まってしまった今、そう疑うのも無理はないだろう。夢野ちゃんと並んで小さい彼女は非力で、いつも何かに怯えていて、警戒心が強いくせに簡単に他人を信用して、容易に殺せそうだもんね。


「とにかく、手分けして名字さんを探しに行こう……!」
最原ちゃんのその一言で混沌としたこの場が少しだけおさまる。


図書室に残る組と名字ちゃん捜索&手がかりになりそうなものを探す組にわかれて、オレは図書室を出る。

単独行動は避けるようにという話が出ていたがそんな口だけの決まり事を律儀に守ってやる必要はない。





チチッ

オレが足元でうろつく小動物に気がついたのは、図書室を出てからしばらく経ってからだった。

見間違えるはずがない。

そいつは存在をアピールするかのように鳴き続ける。
そしてついて来いと言わんばかりに走り出した。
オレもその後を追って駆け出す。


ご主人様の危機を察知したのであろうそのネズミは一生懸命手足を動かす。
なぜこのネズミがオレのもとに来たのかはわからないがこの先に名字ちゃんがいることは確かだ。


そして辿り着いたのは一階の女子トイレ。
その小動物はここにご主人様がいるとしきりに訴えている。


オレは躊躇なくトイレの扉を開けた。




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