プロローグ


暗い……冷たい……寒い……痛い……


誰もいない……。


行く宛もなく、暗い森の中でひたすら足を動かす。

衣服は汚れ、素足からは血が出ているが、冷え切っていて感覚がない。

それでも歩みを進めるしかない。歩みを止めたらそこで息絶えてしまう。
それもいいかな……なんて思いながら足を動かす。


私は歩きながら先程の光景を思い出していた。
炎に包まれる屋敷。いろいろなものを奪っていく集団。
私には何も残されていない。


誰もいない………お兄ちゃんも………。







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