03 俺と水曜の昼



購買部で買い物を終え、いつもの場所へと赴く。2人がけのベンチに座りパンを頬張っていると黒猫がごろごろと擦り寄ってくる。おめェ餌欲しい時だけ調子いいよなほんと。悪態をつきながらも猫缶の蓋を開け猫のそばに置く。にしてもよく食うなお前。


猫が餌を食い終えた頃には俺もパンを食い終え、ゴミを片付けて教室へと戻る。その道中、ふと窓から外に目をやるとあいつの姿。隣にいるのは…新開じゃねェの。アイツガチでみょうじ狙ってんのかァ? 会話は聞こえねェがなんとなく顔はわかる。心なしかみょうじの顔がほころんで見える。なんだそれ、両思いってか? ハッ。

教室に戻る気になれず、福ちゃんのクラスを訪れる。丁度良いのか悪いのかうるせェのもいた。

「荒北。何か用か」
「特にこれって用があってきたわけじゃねェんだけど」
「珍しいな、荒北! 今、俺はフクと隼人の話をしていたのだ! 隼人があのみょうじ嬢と昼食を共にしているとな!」
「あーウンウン。さっき窓から見えたわ」
「隼人も俺には劣るが美形だからな。ああやってると絵になる」

うるせェよ、バーカ。心の中で悪態をつきながら、窓から両者を見つめる。 なんっつーか、面白くねェ。もやもやっとした何かが喉につっかえてる? みたいな。なんでこんな気持ちになんなきゃいけねーんだよ。頭の中で呟いたつもりだったが、それは恋だな! と東堂に返されたから、たぶん漏れてた。

「ほうほう、これは詳しく聞かないとだな! あの荒北が恋煩いを起こしてるかもしれんとは」

いつになく上機嫌の東堂をぶっ飛ばしてェなんて考えてると予鈴が鳴る。教室へ戻り突っ伏す。もう今は何も見たくねェ… なんてどうしちまったんだろうな、ほんと。




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