1万打企画 | ナノ
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▼ 彼女のお菓子が食べたくて

玉子を割っては殻を使って白身と黄身を分けてボウルにいれること1、2、3、4、5、6つ目。黄身のボウルは手前に置いて、白身のボウルは横に捌けて置く。今度は別のボウルに程よく柔らかくなったバターを入れて練り始める。

それを見つめる視線が1つ。

「………何か…?」
「いや、お菓子を作らないと言っていた割にはちゃんと出来ていると思ってな」
「えーっと?まだ混ぜてるだけですけど…?」
「正直に言って、卵は潰しボウルの中身はぶちまける位は覚悟をしていた」
「お菓子は作らなくても料理はしますからね!?私の作った料理普通に食べてたじゃないですか!」

真顔でメレンゲを泡立てながらクラッカーが言った。彼の中では甘い物を好かない上に作りもしない彼女ならやりかねないと思っていたが、杞憂であったようだ。タッセはタッセで会話をしながら作業出来ている。

「そろそろ砂糖をいれていいぞ」
「分かりました」

うわぁ……と真横から引いた声と共に砂糖をいれる音がする。1度に入れ過ぎもなく、少なすぎもなく、やらない人間にしては別に下手くそではないように思える。何故こいつはお菓子を作って来なかったのだろうか。お茶とお茶菓子はセットなのだから自分で食べなくても商品として練習しても良い筈なのに。

「次はー」
「粉の用意してなかっただろう。そこに量ったのを置いてあるから振るえ」
「あ、ありがとうございます」

薄力粉とふくらし粉を合わせて慎重に振るう。たどたどしくはあるが不安を感じる程ではない。寧ろ、

「…なんだ」

些か戸惑った様な表情でこちらを伺うタッセの方が気になる。

「なんというか…もっと厳しいかと思ってたので…」
「お前がうちのパティシエ志望ならそうしたがな?流石に素人に作らせている自覚はあるさ!おれが初めてお菓子を作った時のよりは上手くて安心している」
「ちなみに何歳の時ですか?」
「3か4だな」
「幼児と比べればそりゃ上手く作れますって…!!」
「ハハッ…!!」

タッセが粉を加えて生地を作る間にクラッカーは生地を出した天板をオーブンに運ぶ。滞りなく本日のおやつ作りは進む。





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