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▼ カレーうどん事変

※シルトン・ドルヤナイカ嫌われ要素/後味の悪さあり※
※食事前後には不適切な下ネタあり※
※2019/6/3発売ジャンプ27号、944話のネタバレ含みます。単行本94巻収録分。※






「リブ!!ドルヤナイカちゃんの所に行くぞ!!」
「………それ、私要る?」

 よう、の挨拶も無し。突然目の前に現れた少年の物言いに、少女はやる気のない返事をした。待ち合わせまでの時間つぶしにと持っていた端切れと針を仕舞う。いつもこの時間になるとキッドとキラーが迎えに来ては、やれ探検だ、やれ気に入らないやつがいるからぶっ飛ばしに行くぞ、やれいいもん見つけたから見に来いよ……などと連れ回されているが、最近はこればかりだ。

「お前が居ないと…その、話す切っ掛けが見つからないんだ。頼む」

 いつの間にか来ていたキラーも一緒になってやって来て、それぞれ片手を掴んで連行される。

 …出かける準備は済ませて来たから問題ないけど、既に面倒臭くて帰りたい。


 シルトン・ドルヤナイカは島の街に住む女の子だ。皆と仲良く出来て正直で活発で物怖じしない、けれどガサツでは無い可愛らしい女の子。一応、元々は、リブの友人というか知り合いだった。おかげで今も連れ回されている。

 ドルヤナイカは二人に女の子の遊び…人形遊びやままごとは誘わなかったし、二人もドルヤナイカがいる時は荒っぽい事からは遠ざけて、比較的安全なところで追いかけっこや枝でチャンバラをしたり等して遊ぶ。リブはいつも巻き込まれていた。

 二人して「ドルヤナイカちゃん」「ドルヤナイカちゃん」と彼女ばっかり見ている。確かに彼女が一番か弱いから仕方が無いのだけれど。これでは自分が居なくなっても問題ないな、と先に帰ろうかと思えてくる。別に自分がいなくても会話出来てるじゃないか。…などと考えていたら腕を掴まれ引き止められた。



「昨日ママがカレーをたくさん作ってね、まだお鍋にたくさん残ってるの。三人とも食べに来て!!」

 ニコニコと笑うドルヤナイカに、「行く!!」「良いのか!!」と男子二人が顔を輝かせる。私カレーはカレーうどんにして食べるのが好きなの、だから皆でカレーうどんにして食べよう。そう言って手を引くドルヤナイカに、リブもカレーうどんは嫌いじゃないし良いか、と着いていった。


「リブちゃんはどれくらい食べる?」
「…貸して。自分でやる」

 ドルヤナイカの家は小さな一軒家だった。その中で家族三人暮らしにしては大きい鍋の中にじゃがいも玉ねぎ海老にイカが入ったつやつやとした茶色が半分以上も残っている。確かにこれは多い。

 ドルヤナイカは母親の手伝いで慣れているらしい。…しかし器用さは無いようでうどんを鍋に入れる時に麺を一部入れ損なうわ、ザルに上げる時も零すわで危なっかしい事この上ない。ついでに踏み台の端っこに立っているせいで今にもバランスを崩しそうだ。

 リブも人の台所を弄るのは気が引けたが、このままだとカレー鍋をひっくり返しそうなドルヤナイカに代わって盛り付ける。好物だと言っていたドルヤナイカには、女の子にしては少し多めぐらい。自分も同じぐらいに盛り付けた。キッドとキラーは男の子良く食べるので器いっぱいだ。勿論一滴も零しては居ない。

「リブちゃんは上手だね〜〜!!」

 お母さんみたいだ、とすごい凄いと目で訴えてくるドルヤナイカに、一つ頷いてどんぶりを運ぶ。テーブルで待機していた二人は好きな女の子とご飯の組み合わせに歓声をあげた。





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