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まずは地獄の概要を

──────地獄は八大地獄と八寒地獄の二つに分かれ、さらに二百七十二の細かい部署に分かれている。
前後の人口爆発、悪霊の凶暴化により、混乱を極めている。


と、鬼灯様が軽い導入を説明してくれた。
様とつけてるのは、多分この人は地獄の裏番だからだろうってことが分かったから。

「それじゃあまず澤村さんの行き先の不喜処地獄から行きましょうか」

「ふきしょ地獄?」

普通にふきしょって言われても普通の人地獄に詳しくないからわかんない。

「不喜処は犬や鳥に骨の髄までしゃぶられる地獄です。落ちる亡者は動物に乱暴を働いた罪ですね。まぁ、動物虐待をした人間は動物たちに仕返しをされるって事です」

えっもう一発目から怖い!

「罪によって落ちる地獄って違うんですね。
罪人はとりあえず落として折檻されるんだと思ってました」

「…ちなみに日比野さんは地獄についてどの程度知ってますか?」

「一般常識レベルです」

現世の人間の。

「なるほど。では軽く知ってる地獄をあげてみてください」

「最初に俺が来た時と変わんねぇと思いますけど」

「えっと…針山地獄、血の池地獄、釜茹で地獄、舌抜き?…火炙り…?」

「すいません俺よりひどかったです」

「絶望的ですね。なるほど。
最近の現世は地獄については知ってることはほぼ皆無ですか」

「なんでそんなにdisるんですか!美術で地獄絵図見たことあるだけマシですよ!地獄の鏡とかも知ってるんですよ!」

「浄玻璃鏡ですか…え、それって一般常識じゃないんですか?」

「知らない人は知りませんよ!!」

なんでバカ扱いされてるんだよ!
普通だよ!

「あ、ついた」

「あっ!鬼灯様だー!」

少年のような声が聞こえ、子供も働いてるのかとキョロキョロするも姿はない。
寄ってきた白い犬しか。

「シロさん」

「あれー?澤村さんと…誰?」

白い犬がくんくんと私の足の匂いを嗅ぐ。

「え…待ってください…」

まさか…


「シロさん、こちらは天国警察の新人さんで日比野咲良さんです」

「へぇ〜オレはシロだよ!宜しくね!」

「あ、やっぱりびっくりした?」

「ちょっと澤村さん黙っててもらえます?
私これでもただの一般人なんでこんなんすぐ受け入れられないんですよ分かりますよね?」

「えっごめん」

「……よし、私は日比野咲良です。
宜しくねシロくん」

「うんヨロシクね!咲良ちゃん!」

「さて、澤村さんはここで分かれて…」

ウーッウーッウーッ

《非常警報 非常警報
等活地獄より亡者が一名逃亡
直ちに全獄門を封鎖してください
繰り返します
等活地獄より…》

とサイレンと放送が流れた。

「鬼灯様ァァァァァァァ

この新人がうっかりワンセグ持ち込んで…
悪霊サダコが逃げました!」

大きい訳では無い一般的な成人男性サイズの鬼が小さな子の頭を鷲掴みして走ってきた。

「サ、サダコって…」

あの貞子!?え!?地獄にいんの!?

「あの貞子です。地獄で亡者としておりますよ。流石に情状酌量するにはあまりに人を殺しすぎましたからねぇ…」

と、金棒を振り上げると

ガンッと小さな子を殴りつけた。

「ちょっ鬼灯様!?
こんな小さい子に…!」

流石にダメでしょ!

「何言ってるんですか!
彼はもう大人ですよ!今年の新卒です!
新人研修でちゃんと注意したはずですよ!
そうでなくてもなにかする時は報告・連絡・相談!」

「もっ…申し訳ございません…」

社会って厳しいなぁ…と鼻血を流しながら謝る小鬼。
あの世でもこの世でも社会は一緒なんだなぁ…
ホウレンソウ…

「あとワンセグから逃げるって…どんだけガッツのある亡者なんですか!」

「いやもうそれはすっごい頑張ったみたいなんです!」

だろうな!

「貞子ってテレビじゃなくてビデオについてるんじゃないんですか?」

「いえ、貞子はテレビさえあれば逃げます。
全く…」

めんどくさ!

「今すぐこの近隣のテレビ画面すべて御札で封印しなさい!
そしてブルーレイ内蔵52型テレビをここに設置するのです!」

突然の鬼灯様の指示に鬼と小鬼は戸惑いつつも準備すればすぐに画面から典型的な貞子が這いずり出てきた。

「うおおおおおなにこれすごい画素数…アレ?」

「ほら甘い餌につられてノコノコやってきた」

「ヤマタノオロチみたいですね…」

なんだか地獄めぐりのはずがめちゃめちゃえげつなく怖いの見せられてる…
貴重なんだろうけど…

「くっ…くそっ…おのれ謀ったな…
かくなる上は貴様ら鬼の角全部折ってやる!
腹いせに!!」

「日本中震撼させた割にやることがせこいぞ!」

「うるさい!女の祟は蛇の千倍と思い知れ!まずはそこの女から!!覚悟!!!」

と、私に向かってきた。

「!日比野さん!」

「ああっ!危ない!」

「っ私鬼じゃないっての!!!」

ブンッガンッ

「えっ…」

顔から飛び出してきて手を伸ばしてきたその腕を掴み背負投をする。

「あっごめん!思わず反射的に…」

「(反射的ってなんだろう…)」

「おべっ…!くそ!ならその鬼から!」

「ああっ!今度は鬼灯様が危ないっ!」

ギュオンッ

「おべしっ」

今度はシロくんが貞子に飛びかかり、噛み付いた。

「ギャアアアアアアア何この白犬超怖い!!」

貞子はカサカサとGのように這いずりシロくんから逃れようとする。
が、すぐにほかの鬼たちに捕まり、正座させられ説教を受ける。
ここは学校か?

「よくやりましたよシロさん
B級ホラー洋画の狼男みたいで素敵な登場でした」

「はいっ鬼灯様」

まずは地獄の概要を


地獄の概要っていうか、まぁ触り…?かな?

*

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