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鍵盤と兄と彼と5

男二人の大人げない攻防を尻目にアトラクションを乗る美織。

"降谷零"にしてはいつもよりなんだか笑顔が多い気はしている彼女だが警察官の妹であるからか、元々図太い性格だからか…人生経験の豊富さか、きっぱりと無視している。

時間もゆったりと過ぎ夕暮れで美織が見上げるのは観覧車。

「…美織あっちのお化け屋敷とかどうだ?夕方5時以降は18歳以上しか入れないんだって」

話を逸らすように景光はお化け屋敷の方向を指さして歩き出すが

「なんで?観覧車乗ろうよ」

と何でもないようにそう言って列に近づく彼女の腕を降谷が取る。

「無理ではないんだな?」

「やだ、まだ気にしてるの?松田さんですら気にしてないのに」

苦笑して自身より高い位置にある彼の顔を見上げる。

「そりゃあ気にするだろ…実際危なかったんだからな」

「大丈夫だよ」

降谷の言葉を遮るかのように言葉尻に被せて美織がはっきりと言い放ち

「大丈夫」

と重ねて言う。

「…無理するなって言っても無理そうだな」

「元々ヒロ兄ちゃんの妹の時点で諦めてるよ。だから、零くんも諦めて」

「じゃあ、三人でお化け屋敷行くか〜」

「「うわッ」」

急に背後からヌッと景光が声をかける。

「ハハ、お前たち気を抜きすぎ。もっと周り警戒してけよ」

「うるさいな…行くぞ!」

「あっちょっと!?」

美織の腕を掴んだ降谷は景光をおいて走り出す。

「おい!ゼロ!待て!」

いい年した3人の大人の追いかけっこに視線が集まった。


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