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10

「咲良はさ」

日が沈み点々とある街灯がたまに地面を照らす道。
それは結構暗い道が続く。
そんな中、御幸くんが口を開いた。

「なんでリトルで辞めたんだ?
お前の実力ならシニアも欲しがっただろ?」

「…滝川先輩も言ってたように女だからだよ。
確かに止められはしたし、ソフトとか女子野球も勧められたけどね」

口元だけ笑って無意識に足早になる。
そろそろ駅が見えるだろう。

「へぇ…俺はシニアでもやり合いたかったけどなー
ったく勝ち逃げしやがって…」

「そう言ってくれるなら有難いよ…
鳴もうるさかったしね」

「は?鳴って…」

「成宮鳴。稲実に行ったけど…
知ってるでしょ?」

たしか一方的に鳴は彼を稲実に誘って断られた話をわざわざして来た。
そう、私が稲実へ行くのを断ったのと同じ日だったはず。

「知ってるけど…なんで鳴?」

「…秘密だよ。今はまだ、ね」

「…あっそ…」

ムスッとした彼に思わず声を出して笑ってしまった。

「なんだよ…」

「ごめんごめん。
まぁ、また明日からもよろしくね」

濃すぎる入部初日。


*

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