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もの言わず 清く建ちたる 学舎に 徒然なる者 脅かしせり

コナン達の通う帝丹小学校では最近とある噂が囁かれていた。

音楽室や理科室、視聴覚室などの特別教室での怪奇現象について。

「どうせビビったやつが見間違えたんだろ」


と頬杖をつきため息を吐く江戸川コナン。


「それが警備員のおじさんもみたらしいですよ!」

「あのおっさんが?」

「図書室でゆらゆらって揺れる火の玉を…」

「それこそあのおっさんのことだ。酔ってたんだろ」

「でも気になるじゃねーかよ!」


と話しているのは彼ら少年探偵団の教室、1年B組。


「じゃあ、今夜忍び込んで僕らで調査しましょう!」

「ええ!?光彦くん本気!?」

「だな!少年探偵団の出番だ!」

と意気込むが、


「残念ながら!今回はプロを呼んだから少年探偵団のお仕事じゃないわよ!」


後ろから話しかける担任、小林先生。


「プロって?」

「私たちのことよ」


とひょっこり顔を出したのは先日あった女性。


「あー!葵お姉さんだ!」

「葵知り合いか?」


後ろに控えてた金髪の男が問う。


「この間の兄ちゃんもいるぞ!」


と、元太は青年を指さす。


「ええ、この子が隣に住んでる子なの」

「へぇ、オラ坊主共もう下校時間だろとっとと帰れよ〜」

人の良さそうな笑みで金髪の男が元太の頭を撫でた。

「ね、ねぇ!プロってどういうこと?」

とコナンが問う。

「ん?
あぁ、じゃあ改めて自己紹介しておこうかしら?
私は渋谷サイキックリサーチ、最高責任者の吉河 葵よ
この間マンションのエントランスにいたそっちのが所長の渋谷一也」

目線だけで先ほどの青年を指すが、所長にしては


「所長さん?随分若いんだね
何歳なの?」

子供らしく問うも

「君よりは年上だが?」

と冷たく返される。


「うっ、いや、そうだろうけど…(やりづれー)」

「さいきっくりさーちって?」


そんなやりとりの中、歩美が葵へ問うと


「psychic・research
サイキックは超能力とかだけどこの場合は心霊現象だろうな、リサーチはそのまま調査
まぁ、心霊現象の調査事務所ってところかな」


コナンが答えると


「心霊現象って幽霊とかですか!?」

「じゃあ葵お姉さんも幽霊見えたりするの!?」

「秘密。
あぁ、元、霊能者ならいるわよ。
ね、ぼーさん?」


と親指で先の金髪の男を指す。


「ん?俺か?
まぁ高野山にいた頃はな、頭打って頭の回線変わってから一切だけどな」

「高野山って長髪解禁したのー?」

「今は山を降りてんだよ!
このガキよく知ってんな!」

「ね!さっきのサイキックリサーチといい頭いいんだね!」

「麻衣はそのままその子に英語のご教授でも願えばどうだ?
少しはその英語の授業を受けてないような発音も治るかもしれないぞ」

「うっさいやい!」

「ほーら!あんた達喧嘩すんじゃないわよ!」


と腰に手を当てて来た化粧の派手な女性が咎める。


「あれ、綾子トイレ長かったね」

「さっさとあんた達が置いてっちゃうからでしょ!探したんだから!」


そこに、


「なんだ?このオバサン」

「元太くん!失礼ですよ!」

「おばっ…ってねぇ、私はまだ20代よ!」


女性───綾子が青筋を浮かべ元太に顔を近づけ威嚇する。


「そんだけ化粧濃けりゃ年増に見られても仕方ねーよ」

「黙らっしゃいこの破戒僧!!」

「まぁまぁ!
改めて、この金髪のが滝川法生。元高野山の僧侶でうちの協力者。
除霊の腕はお墨付き。
で、こっちが松崎綾子。巫女さんでこちらも協力者。
彼女の護符の効力は本物ね。
最後にこの茶髪のショートの子がアルバイトで調査員の谷山麻衣よ」


と葵が1人1人を紹介する。


「へぇー巫女ってこんな風にそこらかしこに調査とかしていいんだ?」

「あたしは特別なのよ坊や?」

「へぇー(この人もうさんくせーな)」

「あら、何よそのジト目は」

「別に?霊だなんだって言って霊感商法でたけぇ壺でも買わされねぇか心配してるだけだよ。おねぇさん?」

「うちは霊能者じゃない」

「…彼らは信用していいんじゃないかしら?」


今まで黙ってた灰原が一言笑いながら言った。


「あ?珍しいな灰原」

「サイキックリサーチってことはこの人たち、霊能者として来てるんじゃないと思うわ。
おそらく彼らはゴースト・ハンター」

「ゴーストハンター?
直訳すれば幽霊狩りか」

「そのゴーストハンターは霊能者の力も借りるけど、大多数は研究員で機材などの音声、温度、動画などのデータを解析してその存在を科学的に調査する、超心理学者が主よ」

「へぇ〜」

「哀ちゃんよく知ってるね!」

「ほんとに、よく知ってるわ…」

「麻衣より使えるんじゃねぇか?」

「はぁ!?あたしは肉体労働…くっ…」


言われた麻衣はそう言葉をきって目をふいっとそらした。

「む、昔アメリカにいた頃に聞いたことがあるのよ…ASPR、American・society・of・psychical・research…心霊現象や超能力の世界的権威ある研究機関。
勿論日本には全くと言っていいほど浸透していないけれどね。
確か、大元はイギリスの───」

「ケンブリッジ大学内、society・of・psychical・research…SPRか」

「ええ、まぁ、この人たちがそっちに関係あるとは限らないけれど。
ただの超心理学者の戯れか、SPRの真似事かもしれないし、ただ、霊感商法とかではないと思うわ」

「へえ」


そう話を小声で進めるふたりに周りはポカーンとし、渋谷サイキックリサーチの面々は目を見張る。

ハッとコナンがやべえ!と周りを見回して「あはは…って前に親戚のお兄ちゃんが言ってたんだ〜!」と言葉を濁して不自然に話を逸らす。

しかし葵だけは口元に笑みを浮かべていた。


「なら俺らも手伝おうぜ!少年探偵団出動だ!」

「ええ!?げ、元太くんやめようよ!
ほ、ほんとに幽霊かもしれないよ!?」

「子供に現場を荒らされたくない。
却下だ」

「少年探偵団ねぇ
そういやここは米花町だったか?
正しくベイカーイレギュラーズってとこだな」


ぼーさんが苦笑した。


「シャーロックホームズね」

「にしても、江戸川コナンつったか?
江戸川乱歩とコナン・ドイルったあオメーの親遊んだなぁ」


と頭を力強く撫でた。


「無駄話はそこまでだ。
小林先生、お願いした部屋へ案内してください」

「は、はい!
じゃあみんなも気をつけて帰るのよ!」

「はーい!」

「じゃあね、歩美ちゃんにみんな」


手を振る葵に手を振り返す面々。

全員が教室から出たところで


「よし」

「こんなことだろうと思ったわ…
あなた幽霊信じない派でしょ?」

「だからどんな調査してるか気になんだろ?」

「ったく…」

「行ってみよーぜ!」


その頃


「あの、灰原って子、随分詳しかったわね」

「ねー!ビックリしちゃった!」

「麻衣はあの子達の爪の垢でも煎じて飲ませてもらえ。少しはマシになるだろう」

「どういうことさ!覚えたての言葉使う小学生か!」

「こらこら!ナル、麻衣を挑発しないの!」

「思ったことを言っただけだ」

「少しは謝れ!」

「ふっ、なぜ僕が?」

「様になってて腹立つ!」


なんて、言っていた。


もの言わず 清く建ちたる 学舎に 徒然なる者 脅かしせり


さてさて、調査が始まる!

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