魔法のお菓子≪マシュマロ編≫
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マシュマロをみつけた。
さっそく誰かに食べさせよう!
▼魔法のお菓子≪マシュマロ編≫
―トリックオアトリート!ミヤギ!
筆の先をふわふわと揺らして歩くミヤギをみかけて、迷わず声をかけた。
オツムの軽いミヤギは士官学校時代からドクターのモルモット筆頭だった。
つまり、実験には持って来いの人材なのだ。
ミヤギは振り返ってきょとんとした顔を向けた。
西洋の彫刻のような綺麗な顔立ちと、それに浮かぶ表情のギャップがミヤギだなあ、と思わせる。
なんともからかいたくなる奴だ。
―ハロウィンだよ
わかっていないようなので、お菓子をくれなきゃイタズラするよ、と言葉を続ける。
やっと言葉の意味を飲み込んだミヤギは、
「あー、オラ今なんも持ってねぇだよ、残念だったべな!」
と、笑ってみせた。
ミヤギの明るい笑顔とは対照的に、こちらの笑みは暗さを増す。
―そう、じゃあ……イタズラだね!
「は?」
ぽかんと間抜けに開けられた口にマシュマロを放り込む。
反射的に口を閉じたミヤギは、あまり警戒することなくそれを食べ始めた。
その警戒心のなさが数々の不幸を招く要因だというのに。
「なんだべこれ、マシュマロ?ん、結構んめぇべ」
もぐもぐと口を動かすミヤギを期待をこめた眼差しで見つめる。
さあ、このお菓子にはどんな魔法がかかっているのか。
「……ん…?……ン!?なんだべ!?ぐぁあッ…」
ミヤギの身体に異変が表れた。
顔を真赤にしたかと思うと、その場に蹲って苦しげに呻いている。
これにはさすがに動揺した。
どうしよう、まさか毒が入っていたのだろうか。
―ミヤギ!大丈夫!?
怖くなってミヤギの肩に触れると、
ぽんっ☆
と可愛らしい音が鳴り、ピンク色の煙がミヤギを包んだ。
そして…
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