congratulations!

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とっとり県民の日、というものの存在を知ったのはつい昨日のことだった。
入学当初からなぜか自分に構ってくるコージが、いつものようにどうでもいい世間話を(聞きたくもないのに)聞かせてきて、その中にとっとり県民の日の話題があった。

『ぬし明日が何の日か知っちょるか?トットリのやつが言うには、明日はとっとり県民の日らしいんじゃ。祝ってくれっちゅーとったけん、明日はぬしもあれにおめでとうて言うてやっちょくれい』とかなんとか。

別に祝う義理はないし、第一その日自体、鳥取県民を祝福するための日ではないだろうから、祝いの言葉をかけてやるつもりはなかった。
しかしトットリの姿を見かけた時その話を思い出し、珍しくコージの言う通りにしてやろうかという気になった。要は気まぐれだ。

「おはようさん」
「…アラシヤマか。朝っぱらから根暗オーラ全開だっちゃね〜。あんまし近寄らんでごせ、根暗がうつるけぇ」
トットリは機嫌が良いらしかった。
普段は話し掛けても二言三言で去ろうとするのだが、今は立ち止まってこちらに向き直っている。
「あんさんは朝っぱらから笑顔でえげつないこと言わはりますなぁ」
アラシヤマは自分が祝いの言葉をかけたときのトットリの反応に期待していた。
だから相変わらずの低次元な毒舌も気にならず、軽く受け流して本題に入ることにした。
「それより、なんや今日はめでたい日ぃみたいどすな」
「ああ…」
「今日は」
「そんことなんやけど」
トットリはアラシヤマの言葉を遮った。
てっきり驚くか喜ぶかすると思っていたアラシヤマは、予想に反した応えに少し落胆した。
「…なんどすのん」
「ちっと用があるけぇ、授業終わったら中庭に来んされ」
「は?」
「じゃあミヤギくんが待っとるけ、もう行くっちゃ」
トットリは早口でそう告げると教室へ走っていった。

自分に何の用があるというのだろう?アラシヤマは首を傾げた。
そんなに改まって祝うつもりもないし、トットリだってせっかくの故郷の記念日なのだからミヤギやコージと過ごした方が楽しいだろうに。



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