congratulations!

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様々疑問が残ったが、考えているうちにそんなことはどうでもいいとさえ思わせる重大な事実に気がついた。

彼はたった今クラスメイトと中庭で落ち合うことになったのだ。
これはもしかしなくとも、"待ち合わせ"というやつではないだろうか?

待ち合わせ――それは仲の良い者たちが効率よく出会うために時間や場所を決めて集合するという約束である。

待ち合わせをする間柄というのはとても親しいもの。そう、待ち合わせさえすればもう友達も同然なのだ。
その相手があの毒舌忍者だというのは多少不服ではあるが、今は贅沢は言っていられない。
それにしてもトットリが自分と友達になりたがっていたとは驚きだ。
いつも自分に突っ掛かって来るのは、もしかしたらそういう気持ちの裏返しだったのかも知れない。
そうだ、彼は意地っ張りで照れ屋なところがあるから、面と向かって友達になってくれと言えなかったのだ。
だからいつも悪態をついて自分の気を引こうとしていたのだろう。

「うふ…ふふふふ…人気者は辛おすなぁ…」
アラシヤマは虚ろな笑みを浮かべ都合の良い妄想に浸りながら教室へと歩き出した。
周りの生徒たちは当然彼を白い目で見ている。
こうしてまたアラシヤマと周囲の溝は深まってゆくのだった。


午後の部の終了を告げるチャイムが響く。
アラシヤマはちら、とトットリの方をみた。ミヤギと何か話をしている。
一緒に行っては待ち合わせの意味がないので先に行って待っていることにした。

中庭へ向かうアラシヤマの足取りは軽い。
アラシヤマは晴れやかな気分だった。
やはりトットリは自分と友達になりたがっているのだ。
同じクラスなのにわざわざ中庭に呼びつけたのは、誰にも邪魔されたくないからだろう。
そう、彼は二人だけで祝いたいのだ。彼の故郷の記念日を。
二人だけのお祝い。
なんという友情イベント。これはもう親友と言っても過言ではない。

「友情パワ〜〜〜ッ!!」
突然発せられた奇声に周りの生徒たちはまたいつもの発作かと苦笑した。



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