希望の旭

(3/9)

「シンタロー!帰ったぞー」
「わうわう!」

朝から散歩に出かけていたパプワとチャッピーが戻ってきた。
シミズやテヅカたちを連れて。最近よくみかけるようになった緑のコウモリも一緒だ。

「おかえりパプワ!…で、どうしたんだそいつ」
「向こうの木陰でもじもじしてたから連れてきたぞ」
「……」

パプワの後ろには、ナマモノたちに紛れてアラシヤマが立っていた。
俯いて、落ち着かない様子で両手の指先を絡ませている。
シンタローにみつめられると、アラシヤマは湿っぽい視線を返した。
某RPG風に言えば、なかまになりたそうにこちらをみている!といった感じだ。

「何か用かぁ?もしかしてアラシヤマくんも仲間に入りたいのカナ〜?」
「べ、別にそういう訳やあらへんけど……どうしてもて言うなら参加したってもよろしおす…」
「ふーん」
「……」

冷たい反応を返されると、悔しそうに顔を歪めて視線を落とすアラシヤマ。
気位の高いアラシヤマには自分から仲間に入れてくれと頭を下げるのはさぞかしハードルの高いことだろう。

普段なら本人が素直になるまでいじり倒すところだが、今日のシンタローは違う。
今は敵も味方も関係ない。何の壁もない。一緒にこの島にいる、という点においては彼も立派な仲間だ。

「んじゃお前は釜戸に火焚いといてくれよ、もち米蒸すから。薪はそこな」
「!!…し、仕方あらしまへんなッ!わての力が必要やて言うんなら…」
「はーいはいはい、わーったから早くしてくれよ」

ぱぁっと嬉しそうに顔を上げたアラシヤマを軽くあしらって、シンタローは調理場へ向かう。
アラシヤマは言われたとおり火を焚き始めた。
もちろん、今しがた仲間に入れてもらえた興奮から燃え上がった炎を使って。

「あいつに優しゅうするなんて珍しいこともあるもんだわな」

玄関口を横切ると、二つ目の門松を作っていたトットリが笑ってそう投げかけてきた。
からかい半分、微笑ましさ半分といった笑顔だ。
トットリの素直な瞳にまっすぐに見透かされて、シンタローは居心地悪そうに笑い返した。

「ま、正月くらいいいだろ」
「人数多い方が盛り上がるしのう」
「そーゆーこと」

シンタローはそれだけ言うと、夕方までには終わらせようぜ、とみんなを急かした。



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