::戯言から始まる 「今日はプレゼントがあるんだ」 受け取ってくれるか？と疑問符をつけながら、返答を待たず押し付けるように渡された一輪の花に眉を寄せる。住処を持たぬ私に世話が必要な花を贈るとは嫌がらせ以外のなんだと言うのか。薄いピンクに色付いた小さな壺形のような花は、まあ嫌いではない。センスはいいのだ、この男は。 「アセビと言ってね、綺麗なもんだろう。君に似合うと思って買ったんだが」 「有難いけど、すぐに枯れそうね」 「萎れていく姿を見るのも乙なもんだぜ？自分がいなけりゃ衰弱していく様なんて唆るだろ」 「そう。ねぇ、ベリアル、これを贈る意味とかあったりするの？」 純粋な疑問。一度目を丸くして私を見下ろしたベリアルは、やがてその赤を三日月に歪めさせて笑う。 「さぁね？」 ...more back |