::ヴィルと手袋(twst) 座学は退屈だと騒いで逃げたグリムを追いかけている時の事だった。走り回る素早さは流石魔獣というか猫というか、後一歩がどうしても足りない。こうなったらとグッと身を屈め飛び付くようにその体に手を伸ばす。「ぶなっ」と胸元で声がして上手く捕まえられたと息をつけば、ふとポケットからエースに貰った手袋がなくなっていることに気付く。慌てて辺りを見回せば、なんとヴィル先輩が落とした手袋を拾い上げているではないか。 「あ、あのっ!それ私のです!ありがとうござ」 「決闘だー!!!」 「???」 思わず駆け寄りお礼を言おうとして、無視出来ぬ大きな声に大量のクエスチョンマークを浮かべることになった。あれよあれよという間にポム寮の大広間で私とヴィル先輩が対峙する構図が出来上がり、困惑するグリムと私を置いて観客は盛り上がるばかりである。 ...more back |