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「!?」
つぃ、と冷たいものが首を伝った。
思わずビクリと肩を震わせる。
冷たいそれはその人の指だったみたいで私の反応が面白かったのか小さく笑っている。
けれど赤い目は一切笑ってなどいなくて。
作り物のように綺麗なだけに余計に怖い。
逃げなければ、今すぐこの人から離れて恭平達の所へ…。
冷静になりきらない頭でそう考えるも相変わらず体は金縛りにでもあったかのように動かないし冷たい手が私の左手を捕まえたままだ。
絶体絶命
まさにこのことだろう。
けれどずっとこのままにしておく訳にもいかない。
あれから黙りこくったままの目の前の彼がいつ動き出すか分からないし、何より目的も分からない。
ならば一か八か話しかけてみようか。
結果がどうなるかは別として状況が少しは良くなるかもしれない。
小さく深呼吸して口を開く。
「…あ、の」
思ったより小さい声が出たが聞こえてはいるようで不思議そうな顔をされた。
(といってもあまり表情に違いはないけど)
「あなたは、誰…なんです?」
「……」
目の前の人は少し考えているみたいだった。
やがて考え事が済んだのか口を開いた…が。
遠くのほうからバタバタッ!!という慌ただしく階段を駆け登る音と目の前から舌打ちの音がしたのはほぼ同時だった。