後書き




『詠み人知らず』無事完結いたしました。まずはここまでお読みくださった皆様、本当にありがとうございました!

お話の最後に書き手の自我があるのはなぁと思う気持ちが強く、普段はあまりこのような後書きのようなものは更新履歴の追記やらひとりごとページに書くくらいで、このようなページをわざわざ作っては書かないのですが、このお話だけは少し作らせていただきました。

今までも当サイトは倫太郎おじさんがいたり変な店の常連だったりなかなかに変な(?)角名くんのお話がたくさんあったのですが、その中でも群を抜いて特殊設定で特殊なお話だったにも関わらず、たくさんの応援本当にありがとうございました。ヒロイン全然出てこないし、前世とか現世とかなんぞやという感じだし、一体私以外の誰得なのかと思いながら細々と書いていたので、最終的にこんなにもみなさんから応援していただけるお話になるなんて当初は本当に思っておりませんでした。実はもう書けないと挫折を何度もしたのですが、その度に皆様の温かい感想や楽しみにしてくださっているとのお言葉、そしてこのお話は感想とともにイメージソングを教えてくださる方がたくさんおりまして、その曲を聴いたりして毎回やる気を出しておりました。なのでこうして最後まで書き切れたのは大袈裟ではなく皆さまがたくさん応援してくださったおかげです。本当に本当に感謝しております。

そして、このお話を支えてくれたたくさんの和歌と詠み人たち!ありがとうございました!大好きです!一応ヒロインと角名くんが詠んだとしているものは作者未詳の詠み人知らずの歌を使用したりとちょっとした自分ルールを作ってやっておりました。

全てのこのお話を読んでくださった皆様と、素敵な和歌の詠み人たちに最大の感謝と尊敬を。


以下は使用した和歌とその作者です。

・花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに・・・小野小町『百人一首』9番『古今集』春・113番

・ほととぎす鳴きつる方を眺むればただ有明の月ぞ残れる・・・後徳大寺左大臣『百人一首』81番『千載集』夏・161番

・来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の身もこがれつつ・・・権中納言定家『百人一首』97番『新勅撰集』恋3・849番

・吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風を嵐といふらむ・・・文屋康秀『百人一首』22番『古今集』秋下・249番

・奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の声きく時ぞ秋は悲しき・・・猿丸太夫『百人一首』5番『古今集』秋上・215番

・あをによし奈良の都は古りぬれどもと霍公鳥鳴かずあらなくに・・・大伴家持『万葉集』3919番

・夕づく夜小倉の山に鳴く鹿の声のうちにや秋は暮るらん・・・紀貫之『古今和歌集』312番

・うちわたす遠方人にもの申す我そのそこに白く咲けるは何の花ぞも・・・詠み人知らず『古今和歌集』1007番

・春されば野辺にまづ咲く見れどあかぬ花まひなしにただ名のるべき花の名なれや・・・詠み人知らず『古今和歌集』1008番

・しのぶれど色に出でにけりわが恋はものや思ふと人の問ふまで・・・平兼盛『百人一首』40番『拾遺集』恋一・622番

・わが庵は都のたつみしかぞすむ世をうぢ山と人はいふなり・・・喜撰法師『百人一首』8番『古今集』雑下・983番

・初瀬川ふる川の辺にふたもとある杉年をへてまたもあひ見むふたもとある杉・・・詠み人知らず『古今和歌集』1009番

・風吹けば峯にわかる白雲の行きめぐりてもあはむとぞ思ふ・・・紀貫之『紀貫之集』

・春日野の飛火の野守いでて見よ今いくかありて若菜つみてむ・・・詠み人知らず『古今和歌集』春歌上・19番

・筑波嶺の峰より落つる男女川恋ぞつもりて淵となりぬる・・・陽成院『百人一首』13番『後撰集』恋・777番

・種しあれば岩にも松は生ひにけり恋をし恋ひば逢はざらめやも・・・詠み人知らず『古今和歌集』512番

・思ひいづるときはの山の郭公唐紅のふりいでてぞ鳴く・・・詠み人知らず『古今和歌集』148番

・逢はむ日をその日と知らず常闇にいづれの日まで吾恋ひ居らむ・・・中臣朝臣宅守『万葉集巻』3742番

・吹く風の色の千種に見えつるは秋の木の葉の散ればなりけり・・・詠み人知らず『古今和歌集』秋歌下・290番

・かくとだにえやは伊吹のさしも草さしも知らじな燃ゆる思ひを・・・藤原実方朝臣『百人一首』51番『後拾遺集』恋一・612番

・あをによし奈良の都は古りぬれどもとほととぎす鳴かずあらなくに・・・大伴家持『万葉集』3919番

・五月来ぬわすれな草もわが恋も今しほのかににほひづるらむ・・・芥川龍之介

・紅の初花染めの色深く思ひし心われ忘れめや・・・詠み人知らず『古今和歌集』723番

・世の中は夢かうつつかうつつとも夢とも知らずありてなければ・・・詠み人知らず『古今和歌集』942番

・世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし・・・在原業平『古今集』53番『伊勢物語』

・散ればこそいとど桜はめでたけれ憂き世にになにか久しかるべき・・・詠み人知らず『伊勢物語』

・吾が背子と二人し居れば山高み里には月は照らずともよし・・・高丘河内『万葉集』1039番

・天の川相向き立ちて我が恋ひし君来ますなり紐解き設けな・・・山上憶良『万葉集』1518番

・逢ふことも涙に浮かぶわが身には死なぬ薬も何にかはせむ・・・詠み人知らず『竹取物語』

・忘るなよ別れ路におふる葛の葉の秋風吹かば今かへりこむ・・・詠み人知らず『拾遺集』別・306番

・忘られむ 時しのべとぞ 浜千鳥ゆくへも知らぬ 跡をとどむ・・・詠み人知らず『古今和歌集』996番

・瀬を早見岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ・・・崇徳院『百人一首』77番『詞花集』恋・228番

・君により思ひならひぬ世の中の人はこれをや恋といふらむ・・・在原業平『伊勢物語』

・君がため惜しからざりし命さへながくもがなと思ひけるかな・・・藤原義孝『百人一首』50番『後拾遺集』恋二・669番

・千早ぶる神代もきかず龍田川からくれなゐに水くくるとは・・・在原業平『百人一首』17番『古今集』秋・294番

・古も今も変はらぬ世の中に心の種を残す言の葉・・・細川幽斎

・幾かへり露けき春を過ぐしきて花の紐解く折りに会ふらむ・・・詠み人知らず『源氏物語』

・石間ゆく水の白浪立ち返りかくこそは見めあかずもあるか・・・詠み人知らず『古今和歌集』682番

・ちはやぶる 神の斎垣も 越えぬべし 今はわが名は 惜しけくも無し・・・詠み人知らず『万葉集』2663番

・ほととぎす鳴くや五月のあやめ草あやめも知らぬ恋もするかな・・・詠み人知らず『古今集』恋歌1・469番

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