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『アラジン、モルジアナ。俺と一緒に煌帝国でも行くか?』

それは突拍子もない発言であった。

まだバルバットでの内乱(仮)事件が起こってから数日も立ってない日の事である。
国中の者はアリババ王子(元)の帰還に大変喜び、今までの演技をすべてやめて一気に宴モードに変更されたのである。

「キャー!!アリババ様ぁ!!」

国中の若い女達が「7海の女タラシ」とも呼ばれている、女の扱いに慣れたシンドバットを差し置いて

差し置いて、アリババの元へと群がっているのであった。

その時、笑顔で両手を広げていたシンドバットも悔しさで布を噛んだと言う・・・・

そんなムードの中、アリババはいきなりそう口にしたのであった

そもそもなぜ彼がそんな事を言ったかと言うと、今回の騒動の後に煌帝国からバルバットに知らせが来たのであった

今回の事を謝罪と詳しい話を聞きたく、国へと来てはくれないかと

まぁ。普通は煌帝国側からくるのだろうが、そこは大国と小国の間の話ではいろいろとプライドというか

食べれもしない無駄なものが絡んでいると知っているアリババはそんなごみ以下の些細な事は気にしないたちで、二つ返事で了承したのであった

ここで無駄な問題を起こしてもいろいろと面倒なことになると彼は知っているのである。

そしてそう思いながら横目でシンドバットを見ていたのは誰も気づいていない事であったのである。

そんなこんなで煌帝国の訪問が決まり、誰が行くかという話になったのである

この国の王であるアリババの兄である二人は今回の鎮静化で忙しく、国を開ける訳にはいかないのであった。

そして元は王子であるが、その身分の事実を知られているアリババに白羽の矢がたった訳だったのである

この話は今の所、バルバットでもごく一部の者しか知りえない話だったのであったが…宴の席でのアリババの発言により公言されたようなものであったのである

そんなアリババの話を聞いていた、言われた二人であるアラジンとモルジアナは一瞬動きを止めたのであった

そしてアリババの言葉を何度か反復して理解した二人はパァッと笑顔に包まれたのであった

「「もちろん、行きた「ちょっと待ってくれ、二人とも」

そんな二人を止めたのは宴の席に同席にしていたシンドバットであった

即答したかった二人はシンドバットの行動に頭を傾げたのである

シンドバットはそんな二人と目が合って、苦笑いをして。そしてアリババを見たのであった

「アリババ君、その考えに俺は賛同しかねるね」

そう言ったシンドバットにアリババは反論することはせず、彼の言葉に耳を傾けているようだった

「アラジンはマギだ。そんな彼を煌帝国に連れて行けば、その身が危ない事を君は知っているだろう?」

「で、でもおじさん!!」

その言葉を聞いたアラジンは反論しようと声を挙げたのであった

「どうだろう?アリババくんが煌帝国に行く間は彼らはシンドリアで預かると言うのは・・・・」

そう言ってシンドバットはアリババの返事を聞かないで、アラジンに言ったのである

「アラジン、俺の国には魔導師がいるんだ。君もいろいろと勉強したい事があるだろう?」

「でも・・・・」

魔導師という言葉に魅力を感じているアラジン、だけど彼は何といってもアリババくんとの旅がネックになっていて

普段なら即答する申し出に煮え切らない様子のアラジンにシンドバットは最後の追い打ちをかけたのである

「ちなみにその魔導師は綺麗なお姉さんだ」

「綺麗なお姉さん!!」

綺麗なお姉さん談義で盛り上がる二人を見ていたカシムは声を挙げようと一歩前に出ようとしたが、アリババが止めたのである

アリババは盛り上がる二人を見て、静かに笑ったのであった。




「モルジアナもマスルールにいろいろ教わるといい、同じファナリスなのだから」

モルジアナにも魅力的な誘い文句が来て、彼女は行きたいと言う気持ちが大きくなったのである

もちろん彼女はアリババと旅がしたかった

その気持ちは今でも変わらない。だが・・・彼女は今回の件で分かってしまったのである
カシムと違て、自分がアリババの助けになれていないのだと・・・

そう感じているのはアラジンも同じであった。

なんだかんだ言って「お姉さん」に反応はしたが彼は自分と同じでアリババさんの為に何が出来るか模索をしているようであった

そんな気持ちはモルジアナは誰よりも分かったのである。自分も同じ気持ちであったから・・・

旅をしたいのはもちろんだ。

だけどいつまでも自分は彼に頼るのは嫌だと思ったと思う心がモルジアナを困らせたのであった

モルジアナはオロオロとしながら、ソロッとアリババを盗み見したのである

目が合ったアリババは苦笑いをしたのであった。

その顔げ何が言いたかったのか彼にも伝わったし、自分にも彼の気持ちが伝わったのである

そしてモルジアナは決心し、シンドバットを真っ直ぐにみて口を開いたのであった







「行きます」

<後書き>
一人で旅をすることになってしまった
ボッチのアリババ君
そんな彼のお供としていったい誰が付いてきてくれると言うのだろうか!?
次回、身に余る相棒登場です!!(笑)

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