羊に飲まれた









「今日は久々に、俺が夕飯でも作ろうか?」
 そんな何気ない一言で、今日も今日とて男盛りの腹を満たす為、車座になってうんうん唸りながら食材と睨めっこをしていた調理班の面々は一斉に顔を輝かせた。
「マジっすか!マジっすかシリウスさん!」
「うおおおー!久々に巨匠がお出ましを!」
「ありがとうございます、実は献立もマンネリ化して困ってて!痛んだ野菜も消費し切れてないし!」
「俺、あれがいい!シリウスさんが前に作った鍋!」
「そうだ!俺はひとっ走りして、閣下に肉も使っていいか聞いてくるっす!」
「いや、そんなに気張らなくても……」
 大はしゃぎする青年達をシリウスは苦笑してたしなめるが、一度ついた勢いは止まらない。一人は野菜籠を放り投げて天に祈っているし、一人は自分が食べたい料理名をわくわくと挙げ出すし、一人は肉の調達に走り去る始末。ついでに仲間達にも吹聴してきたようで、シリウスが今晩の夕飯を作ると言う話はそれこそ火がついたように部隊内を駆け巡った。今でこそ遠征先での調理は年少者が行う暗黙のルールができているが、シリウスが包丁を握った話と言えば、もはや伝説となっている。見た目に反して家庭的な事で知られるシリウスが久々に厨房に立つと聞き、部隊は俄かに活気付いた。
「……そんなに大騒ぎするほどの事なんですか?」
 参入して日の浅いオルフには、何故こう盛り上がるのか分からない。船から夜具を下ろして天幕を張っていると、反対側で布を広げていた青年が息巻いて応じてくれた
「勿論っすよ!あ、でもオルフさんは食った事ないんでしたっけか。いやー、色々と伝説になってますよ!食材を積んでた船がやられて、マジ食う物が何もなくて困ってたら、シリウスさんがその辺の草で何かよく分からないけど美味い煮汁作ってくれて、腹ぺこにならずに済んだし!」
「その辺の草……まあ、確かに野外料理が得意そうな感じはします」
「あと、アマヌスさんが体調崩して食べても食べても戻してて、もうこりゃ船から下ろすしかないなって時があったんですけどね。シリウスさんが作った料理だけは、どんなにこってりしてようが這ってでも食う!って言い張って」
「それは……褒められたものではないのでは?」
「いやね、本人に『シリウスさんの飯で腹壊して死ぬなら本望だー!』って言われて止められなかったんすよ。つまりそれだけ美味いって事です!」
 うんうんと深く頷く相手に、オルフは首を傾げた。大の大人が揃いも揃ってシリウスの手料理にぞっこんとは、正直なところ、滑稽に見えて仕方ない。しかし砂浜にあぐらをかいて剣の手入れをしていたアメティストスが、調理班からの報告を聞き「何、シリウスが!?」といつになく目の色を変えたので、認識を改めざるを得なかった。
「そうなんです閣下!実に三ヶ月ぶりにシリウスさんが包丁を握る決意を!是非とも肉の使用許可をお願いします!」
「よし、羊を潰すのを許す、思い切ってやるようシリウスに伝えておけ!」
「はっ!」
 異様なほど切れがある会話が耳に入り、オルフは俄然興味が湧いてきた。いざという時の為に船には数頭の羊を積み込んで世話してきたが、ギリシャでは日常的に肉を食べる習慣はない。祝い事や神への供物として、家畜を屠った後に肉を切り分けて振る舞うのが一般的だ。アメティストスは神事に疎く――と言うか意味のない事だと嫌っているようで、出港前に航海の無事を祈る儀式もあまり行わない。船の舳先へ屠った羊や牛の血を垂らして願かけをする事はあれど、それはあくまで兵の戦意高揚だと割り切っているようで、無駄な生贄は決して出さなかった。その為、肉を出すのは本当に必要な局面に置いてのみである。
 そのアメティストスが許可を出したのだ。それが何よりもシリウスの料理の腕前を物語っている。青年は満面の笑みで飛ぶように調理班のところに戻り、アメティストスは剣の手入れを続けているものの機嫌がいいらしく、ふんふんと鼻歌を歌っていた。思わずオルフは生唾を飲む。
(一体どれだけのものが……?)
 興味を引かれて天幕を張り終えた後、こっそり調理班のところへ足を向けた。いつもなら拾ってきた石を組んで即席の釜戸を作り、せかせかと忙しく煮炊きをしているはずの場所が常よりも格段と騒がしい。人垣ができている。背伸びをして中を覗き込んでいると、数人の手伝いと共に、のほほんと羊を絞めているシリウスの姿があった。
「せっかく閣下からお許しが出たし、豪華に丸焼きにしようか」
「きゃー!シリウスさん超男前ー!手際あざやかー!」
「血抜きはどれくらいしますかー!」
「さばいた後の内臓の処理なら俺も手伝いますからねー!」
 ええと、その、盛り上がっているが、とても血なまぐさい事になっている。年頃の娘のように黄色い歓声を上げる調理班の面々は勿論の事、普段ならとっくに天幕でくつろいでいるはずの面子まで輪に加わっていた。文字通りのお祭り騒ぎである。オルフとて狩りもするし動物の解体も見慣れているが、こんな風にきゃーきゃー言うものだったろうかと目が点になった。実際は色気も何もない野太い男の声援なのだが、歓声には違いない。
「ついでに痛みかけの野菜も使い切っちゃうか。葉物の方がいいんだけど、何か残ってるか?」
「そりゃあもう!」
「じゃあそれをザク切りにして、中に詰めれるように準備しといてくれ」
「分かりました!」
 血抜きをし、綺麗に皮を剥がされた羊の腹を、シリウスは躊躇いなく切り裂いた。そこに野菜や穀物類を詰めて縫い合わせていく。彼が表面に塩をまぶしている間に、抜いた血と内臓は調理班の若手が壷に入れてどこかへ持っていったが、あれもどうにか加工して食べ物にするのか、それともこっそり海の神に捧げる供物になるのか、オルフには判断がつかない。釜戸を作らずに薪を地面に置いて枝を組み、左右に二股の枝を突き刺したところを見ると、どうやら今日は肉に棒を通して串刺しにし、ぐるぐると回しながら豪快に焼くつもりのようだった。下準備が終わると、丸裸にされて首を落とされた肉の塊は手足を棒に縛りつけられ、まるで磔にされた罪人のように見える。
 見た目は少々グロテスクだが、薪に火を入れて焼き始めると、ちりちりと香ばしい匂いが漂い始めた。シリウスはどこからかオリーブオイルの壷を持ってきて、せっせと表面に塗りつけ、時折ぐるりと棒を回している。垂れて地面に落ちるのはオリーブオイルだろうか、それとも早くも肉汁が滴っているのだろうか。非常に食欲をそそる光景だった。
「凄いですね」
 オルフがそう零すとシリウスは顔を上げ、熱心にこちらを見つめている同僚をおかしそうに見やった。
「あー、やっぱり血抜きからすると時間がかかるからなぁ。兎やら鳥やらならともかく羊となると、うちでは宴会用だよ。お前の故郷ではやらなかったか?」
「少し手順が違います。それに、どちらかと言うと羊は保存食用でしたから、こうした丸焼きとなるとなかなか……」
「ああ、そっか、成る程なぁ」
 そんな会話をしていると、例の内臓の処理をしていた若者が、手を血だらけにしながらご機嫌で駆け寄ってきた。
「シリウスさん、俺らは何か汁物の用意をしますけど、いつ頃がいいですか?」
 肉が焼きあがる時間に合わせると言う。オルフも期待に胸を膨らませた。血抜きだ解体だと時間がかかり、既に夕暮れ時になっている。ちょうどよく腹も空き始めた頃だ。シリウスは棒を回して焼き具合を確かめながら、そうだなぁ、と暢気に答える。
「あと三時間から四時間ってとこかな?」
「「「さんっ……!?」」」
 予想以上の回答に息を呑んだのは、その場に居合わせた全員である。珍しくシリウスが腕を振るう事に加え、羊の丸焼きと言う豪華なメニューに浮かれていたが、そうなのだ、丸焼きとはそれだけ火が通るのに時間がかかる料理なのだ。近くに集まっていた若者達は夢から覚めたような顔で冷や汗をかいている。
「ま、まじっすか……これからそんなに……俺、待てる気がしないんですけど……!」
「この匂いを嗅ぎながら三時間四時間って、ちょっとした拷問ですよ……?」
「大丈夫大丈夫、さすがに夜中になる前には焼きあがるから。それに油も段々と抜けてくし、匂いだって今ほど強くならないって」
 シリウスはひらひらと片手を振るが、周りは「夜中までって極端な!」だとか「匂いの問題じゃない!」だとか色々と突っ込みたい事を懸命に噛み殺していた。彼らの言葉を押し留めているのはシリウスの人徳によるものが大きいが、ここで下手に突っ込んで料理人に臍を曲げられて放り投げられては困る、と言う俗っぽい下心もある。彼らはごにょごにょと口ごもりながら涙を飲み、肉の誘惑に負けて暴言を吐く前にと、そそくさと退場した。
 オルフもオルフで期待していた食事時間が大幅に繰り下げられ、内心ショックを隠しきれない。しかし表面上は取り乱さず、「そうですよね、勿論そのくらいはかかりますよね、知ってました」と言う態度を取り繕っていたが、なにせ体は正直だった。背を丸めて腹筋に力を入れなければ、ぐるぐると腹の虫が鳴き出してしまいそうである。情けない姿を見せる前にと、これまたすぐに退場した。
「オルフさんも……さすがに厳しいっすよね?」
 歩いていると、先程の調理班の青年がそっと話しかけてくる。反射的に平気ですと虚勢を張りそうになったが、青年の虚ろな目と、あちこちから鳴り響く腹の虫の音に釣られ、つい頷いてしまった。
「そうですね……やや長すぎるかと……」
「どうにか時間短縮できないものなんですかね……このままじゃ暴動が起きますよ……もしくは生ける屍になりますよ……腹を空かせて……」
 大袈裟な言い方だが、早く食事にありつきたい気持ちは理解できた。昼間にもりもりと働いた食い盛りの男達が集まっているのだ、腹を空かせているのは当然である。それに待機時間が長引けば明日の予定にも差し支えるだろう。できれば食事も手早く済ませて、彼らを休ませておきたい。オルフは考え直すと踵を返し、再び焚き火の元に戻った。
 近寄ってみると、いよいよ肉の表面には焼き色が付くようになっており、滴った汁が焚き火に落ちてじゅっと蒸発する音も聞こえてきた。視覚・聴覚共に刺激され、オルフは思わず口内を舌で探る。肉を噛み締めた時の味を想像してしまったのだ。確かにこれはちょっとした拷問である。やはり少しでも調理時間を短縮してもらいたい。
「シリウス、あのですね」
「おう、どうした?」
「その丸焼きの事なんですけど――」
「ははっ、何だよ、そんなに珍しいのか?お前のとこもギリシャ圏だけど、やっぱり食文化って違うんだなぁ」
 何を勘違いしたのかシリウスは破顔すると、ぽんぽんと隣の地面を叩いて座るよう促した。大人しく座ると、お前のとこでは保存食にする時は塩漬けと燻製のどちらだったんだとか、もっと山の食材も取り入れたいんだけどキノコの種類が分からなくて困ってるだとか、色々と話しかけてくる。
「やっぱり船旅が続くとさ、似たようなものしか作れないだろ。俺も普段は忙しくて任せっきりだけど、久々にあいつらにも美味いもんを食わせてやりたくなってさ」
「はあ……」
「一度でも奴隷になってひもじい思いをすると、食い物に対して過敏になる奴も多い。俺は食事に関しちゃ恵まれた方だったけど、あんまり食わせてもらえずに働かされた奴なんてザラにいるだろ。ちょっと時間がかかるけど、せっかく閣下も羊なんて許可してくれたし、この機会にわいわい丸焼きにするのも楽しそうでいいよな、って思ってさ」
「そうですね……」
(くっ……善人の顔を……!)
 オルフは歯噛みする。普段ならシリウス相手にも噛み付く事を躊躇わないが、こうも満面の笑みで爽やかに想いを語られると、さすがに空気を読まざるを得ない。そして何より調理をしているシリウス自身が『ご馳走を目の前にして食べられない』一番の被害者なのである。さっきから彼の腹の虫も聞こえるし、時折口元を拭っているところを見ると、何度も生唾を飲み込んでいるようだ。それを「時間をかければ美味しいものができて皆が喜ぶ」と理由だけで耐えているのである。オルフが渋い顔で黙り込んでいると、向こうの岩陰から先程の青年が小声でエールを寄こしてきた。
(オルフさん、情に負けちゃダメっす!ガツンと!ガツンと早くしろって言ってやってください!)
(無理ですよ!そこまで私も鬼じゃないですよ!)
(オルフさんなら出来ますって!竪琴で鍛えた美声を今ここで!ばーんと弾けさせて!)
(突っ込む為に喉を鍛えた訳じゃないですからね!?)
 シリウスが隣にいるので指で小さく罰を作り、返答は目線だけで送る。しかし青年も根気強くメッセージを送り続けるものだから、オルフとて意地になって拒み続けた。それにしても、どうして新米である自分がこうして無駄に一目置かれているのだろうか。普通は新入りの癖にと疎まれるものなのだが、どうした訳か奴隷部隊の若手組は何かとオルフを持ち上げたがるのである。
「いい匂いだな。上手くいきそうか?」
 そうこうしているうちに肉の焼ける匂いに釣られたのか、アメティストスまで姿を現した。装備を解いて身軽になった彼は剣だけを腰に吊り下げている。やはり羊の丸焼きを見るのは初めてらしく、表情こそいつもと変わらないが、膝を曲げてまじまじとシリウスの作業に見入っていた。オルフは不審に思われないよう白熱していたジェスチャーを止め、慌てて態度を取り繕う。
「かっ、閣下、お疲れ様です!」
「ん?剣の手入れをしていただけで、特に疲れるような事はしていないが?」
 嫌味ではなく真顔で返された。反射的に定型文で挨拶しただけなのに、これは切ない。この人もこの人で天然なのである。羞恥のあまり固ると、シリウスが同情の視線を送ってくれているのが分かった。オルフはやけになって声を荒げる。
「わっ……私から見れば閣下は常に先頭に立って戦ってらっしゃいますし、日頃からお疲れかなと思ったんです!いついかなる時でも労いたいんですよ!!悪いですか!!!」
「うおっ、急に弾けたなお前」
「普段から疲れている訳でもないが……そうか、心遣いは貰っておこう」
 喚き散らすオルフに、笑うシリウス、そして大真面目に頷くアメティストス。それを見て、ぐっと握り拳に親指を立てる岩影の青年。
(さすが奴隷部隊の三柱が揃うと豪華っすね!)
(単位が柱って神扱いなんですか私達!?)
 オルフには突っ込みどころが分からない。しかしアメティストスとシリウスにとってはこの程度の会話は日常茶飯事のようで、それ以上いじられる事もなく元の話題に戻った。即ち、羊の丸焼きについてである。
「それでシリウス、いつ出来上がるんだ?そろそろ腹を膨らませたいところなんだが」
「うーん、この調子なら三時間くらいですかね。丸焼きなんて祭の時に見る事はあっても、まず自分達で作るもんじゃないでしょ。余計に俺達って奴隷でしたから、ご馳走なんて縁がないですし、せっかくだから美味くもんを振る舞ってやりたいんで、もうちょっとだけ辛抱してくださいね?」
 頬を綻ばせたシリウスの穏やかな返答に、アメティストスはぴくりと片眉を上げた。今日の夕飯の為、羊を屠るように指示を出したのは他ならぬ彼である。やはり期待していたのだろう。アメティストスは胡乱に目の前の肉を見つめ、次に暮れ行く夕日を確認し、最後にシリウスを睨んだ。
「……まさか本気ではあるまい?」
「いえ、本気ですが」
「馬鹿、そんなに待てるか。早くしろ」
((さらっと言ったーーー!さすが閣下だーーーっ!))
 オルフと青年の心の声が被る。シリウスのいい人オーラを前にしても自分の主張はきっちり通す、そこが狼将軍のカリスマたる所以である。たじろがない、揺らがない。シリウスは難しい顔でぽりぽりと頬を掻き、無茶を言う主人と羊肉を見比べた。
「早くって言われても……丸焼きはなかなか火が通らないから、真ん中あたりが生焼きになっちゃいますよ。魚ならいいんですが、さすがにそんなの食わせるのはちょっと……」
「構わん。そのくらいで死にはしないだろう」
「いや、いけません、そんな!」
 アメティストスの投げ遣りな台詞に料理人魂を刺激されたのか、シリウスがカッと目を見開いた。
「いいですか、俺達は文明人なんですよ!そして体が資本の武人なんですよ!生肉を食うなんて真似は腹を壊すだけです、許しませんからね!」
 しかしアメティストスも負けてはいない。やはりカッと目を見開くと、銀の髪をなびかせて勢いよく力説した。
「何を言うか、私は奴隷の頃から生肉も平気だ!虫だって平気だ!蛇もミミズも無駄に美味いと知っている!泥水だって飲める!水がない時は鎖でも舐めていれば唾液で喉が潤うんだぞ!人間、腹が減れば大体はいけると身を持って実証済みだ!しかし鼠の肉だけは肌に合わず、何故か体調が――」
「わあああ閣下、止めて!唐突に奴隷時代の悲しい思い出を語り出すの止めて!せめてしんみりしたムードの時に酒でも飲みながらぽつぽつ話して!」
 自分から持ち出した話題にも関わらず、シリウスが腕を交差させ、大きく罰印を作りながら止めに入る。アメティストスは口数が少ない男だが、妙なところで饒舌になるのだった。出撃前の激励や兵を鼓舞する演説の時は力強いが、こんなところで熱の入った過去話を聞かされても困る。ただでさえ腹が減っているのに、号泣して体力を削るような真似は避けたい。
「とにかく、丸焼きは火をきちんと通さないと!そうじゃないと俺、もう二度と料理なんてしませんからね!」
 シリウスが有無を言わさず話題を終わらせた。いくらアメティストスの希望とは言え、実際に料理を手がけた者としての拘りなのか、そこは頑として譲るつもりはないらしい。最終通告まで出してきた。さすがにそこまで言われればアメティストスも諦めざを得なかったのか、吊り上げていた眦の強張りを瞬きで溶かし、渋々と溜息を吐く。
「仕方ない……お前がそこまで言うのなら、それだけの価値があるのだろう。気が済むようにやればいい」
(あ、閣下がシリウスの味方に回った)
 これは誰も反論できないなと、オルフは即座に説得を諦めた。大体、軍の頭である二人が言い争った後で、参入して日の浅い自分が文句を言うのもおこがましいのだ。食べ盛りの男達には悪いが、涙を飲んで空腹に耐えてもらうしかない。そもそも、ここに集まっている三人も揃って空腹なのだから、結局のところ境遇は皆同じなのだ。岩陰で見守っている青年もしょうがないと納得してくれるに違いない。


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