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 私の一族は、夜を統べる魔物でございます。闇夜に紛れ、人々に混ざり、血を啜る、吸血鬼でございます。
 しかし、手当たり次第に血を吸う行為は、獣となんら変わりません。
 私達は食材を吟味し、静かに食事をするのです。音を立てて吸うなど御法度です。
 食事とは、優雅でなければなりません。

 私の一族は、陽の光を疎ましく思っております。しかし、同時に強く焦がれております。
 あの眩い光が憎く、愛しいのだと、私はよく耳にしておりました。しかし陽の下に出ることは、出来ません。
 焦がれている陽の光は、まるで炎のように熱く、刃物のように鋭く、私達の身体を破壊してしまいます。
 陽の光を浴びられぬ者は、皆一様に青白い肌をしており、私から見ても不健康そうな、病的な印象を抱かせておりました。

 時に、我々の種族の中でも、時折、陽の光に対する抗体を持つ者が生まれます。
 その者達は、太陽が照りつける日中も、月が照らす夜も、どちらも活動することが出来る為、
 「全てを統べる者」として、王のように奉られ、崇められ、崇拝されておりました。
 そして、私もまた、太陽を苦手としない、「全てを統べる者」でございました。
 その為、幼少の身分より、私は周りにいる者達から、丁重に扱われて育ちました。

 私は、一族の主として、一族を統べておりました。
 けれども、そんな私の生き方や、存在出来る理由が、ある時。
 呆気なく崩れ去ったのです。しかし、私はそのことを悲観することは致しません。

 私の目に映ったのは、ある魔将のお姿でございました。
 そのお方は、私の目の前で、私の一族を、手に掛け続けていらっしゃいました。
 降り注ぐ鮮血と飛び散る魔力結晶の中、私はその光景から、一瞬たりとも目を逸らすことが出来ませんでした。
 恐ろしかった為。目の前の出来事が理解出来なかった為。そんな理由ではございません。

 私は、傍若無人に仲間を刈り取るそのお姿に、心を奪われていたのです。



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