Story17


ある青年の苦悩より

僕は時折夢を見る。それは酷く薄暗い夢で、とても悲しい夢だ。
僕は確かにそこにいるのに、誰も僕の声を聞いてくれない。僕は確かに言葉を紡ぐが、それは僕の言葉ではない。
彼も、彼女も、僕を見ない。僕を見ながら、僕を見ていない。僕はその夢の中で、本当は存在していないのではないかと、
そんな怖い想像をする。少しずつ、僕が壊れていく。僕の指が、腕が、消えていく。
そして、その光景に怯えている僕は、いつも僕の声を聞く。僕ではない、僕の声を聞く。

嗚呼、嗚呼。誰も僕に気付いてはくれないのだ。



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