ここから見える残像とs4 | ナノ
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□ここから見える残像と
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切り立った丘、




褐色の岩が途切れ、青い空





目の前には、ミッドガル






この光景─…






あの日からもう随分経つのに


まだそこに横たわっているあなたが見える







目の前にして、逃げ出したくなる



この場所から目を背けたくなる







でも








『もう、充分なんじゃない?』









そうね




いい加減に、向き合わないとね









いつかは来なくちゃいけないと思ってた。



でも、なかなか来れなかった。




それはきっと



あなたはもういないんだって、認めるのが恐かったから。








ここに来て、言いたいことがあった




言わなきゃいけないことがあった。







息を吸って、大きく吐いた











「ごめんね……」




絞り出した声は、想いに反してあまりに小さくて





「ごめん…」






助けられなくて




間に合わなくて





もっと早く着いていれば



もっと早く向かっていれば





あの日私は、何もできなかった





何かするには遅すぎた






何か変えようと思うには、もう何もかも手遅れで






後悔してもしきれない




謝っても謝りきれない







あなたを忘れた日なんてなかった




忘れられる日なんてあるはずなかった。






手が小さく震えていた







あの日のあなたが、



そこに横たわったあなたが見える







でも─…





震える手を、強く握った。









いつかのあなたを、



眩しい笑顔のあなたを思い出した










「ごめん」






決めたから。




前を向くと決めたから。








もう、



あなたに甘えないと決めたから。






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