垂直落下


窓のない部屋で 息をしている
生まれてゆくのは名前も知らない感情ばかり
嘘吐き いつかの朝は偽物のままで
一度はあなたの首を絞めてみたかった

澄んだ瞳の天使を穢した
吐き出されるのは淀んだ色のマーブル模様
嘘吐き いつから笑うのをやめてしまった?
彼女を殺してあなたを守ってあげるよ

垂直落下の音がする、

透明なビニール傘の後ろ姿がゆく
あなたが歩く世界は 息が詰まりそうなほど、綺麗ね
染みのない白衣や その瞳のコントラストも
触れられない この穢れた手じゃきっと、死ぬまで

ほら 今すぐ その窓を開けて
ここから 飛び降りるから
ほら 今から わたしを見ていて
きっと幸せをあげる

透明な雨の粒が垂直落下する
あなたの深い美しさにわたしも落ちてゆく それでも、
心地よいテノールや 音のないクロックスも
触れられない この感情の名前を 知るまで








(2011.04)







  

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