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03Hello!未来の英雄たち!


ラボへの配属が決まってから、フェザーは情報館へ篭って猛勉強を始めた。お気楽な性格の彼女だが、真面目な部分はとことん真面目であり、何よりショックウェーブの足手まといになってメンバーから外されては元も子もないと考えていた。


『やあ、今日も来たのかい?』
『こんにちわ、オライオン!失礼します!』


頻繁に訪れるようになって顔見知りも出来た。情報局員のオライオン・パックスは落ち着いた大人の男性で、慌ただしいフェザーの面倒を嫌な顔をせず見てくれた。
口を開けば騒がしく可愛らしい彼女だが、ケーブルを繋いで学習している時はとても大人びて見える。ボディに取り付けている珍しい形の重火器は自分で造ったものだというから驚きだ。
パネルを操作しながら、末恐ろしい延びしろをオライオンは感じていた。その能力を平和の為に活かしてくれるよう、誰かが彼女の道を見守っていく必要がある。
せめてここにいる間は、自分が。閲覧範囲に気を付けながら、オライオンはフェザーを時々観察していた。


『…珍しいな、こんな所に子供がいるとは。』
『メガトロナス!』


重厚なボディをゆらせて、銀色の大柄な機体が現れる。オライオンは友人の来訪に、快く席を空けると彼はそこに腰を降ろした。


『アカデミー生のフェザーだ。最近、よく此処に来るようになってね。』
『ほう。幼体のわりに熱心なものだ。』


実際、女型にしてはそれほど小柄ではないフェザーだが、メガトロナスからすれば大差ない違いだった。
静寂だった空間に話し声が聞こえはじめて、彼女は閉じていた目を開ける。見上げた先にはオライオンと、…ケイオンではその名を知らぬ者がいないだろう人物がいてフェザーは勢いよく体を起こした。


『剣闘士メガトロナス!?』
『…いかにも。』
『うわ、ウソみたい!あっ、この武器にサインもらってもいいですか!?』


目を開けると、落ち着きのない様子で口を開く彼女にメガトロナスは目を瞬かせた。目を閉じている時に感じた物静かな雰囲気は見事に音をたてて崩れていく。断る理由もなく、彼女の装着している真新しいブラスターに名前を彫ってやるとくりくりした目を一層輝かせた。


『うわあ、学校に行ったら自慢しなくちゃ!これ、永久保存決定〜』
『よかったな、フェザー。』
『はいっ!よーし、また普段用に新しいの造ろっと。ありがとうございます、メガトロナス!』


ケーブルを片付けて、フェザーは暗い回廊から外へ続く道を一目散に駆けていく。
メガトロナスはその姿を不思議そうに見つめた。先程彼女は何と言っただろうか。また新しいのを造る?あの幼体が?オライオンを見ると、彼はその意図が分かっていたように苦笑を漏らした。


『…筋の良い子だ。本当に自分でパーツから組み立てているようで上からもその素質を買われているらしい。』
『信じられんな…。』


驚きと同時にメガトロナスはその力を純粋に欲しい欲望に駆られた。まずはその破壊力と技術を確かめる事が先決だが。先の計画には、今以上に有り余る力が必要になる。


『―――名を、何と言ったかな。』


その時、メガトロナスのその呟きに籠められた意志を、無邪気に跳ね回るフェザーは知るよしもなかった。
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2014 02 20

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