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秘密の共有(pkmn剣盾*キバナ)


※ガラル地方ジムトレーナー主。勢いだけで書いてます。
pkmnGOしか管理人は経験ないので、色々悪しからず。。


彼のことは遠くから眺めるだけで十分だった。
スタジアムで歓声を浴びて応える姿は眩しすぎて、隣に立つには抵抗があった。
ジムでも彼はリーダーであり人気者だった。トレーナーとしてのスキルは高く、端正な部類に入る顔立ちと、人当たりの良い性格はただ其処にいるだけで周りの人間を惹き付けた。かく言う自分もその一人。ヒカルはキバナを人の輪から外れた所からぼんやり眺めた。


「ヒカル。キバナさんに挨拶しに行かないの?せっかくジムに来てるのに。」
「あ…、うん。今、忙しそうだしまた後でするよ。」


浮かれている友人に、にこやかに返す。
結局、ヒカルはそのまま練習だけして、マイペースに帰路についた。いちトレーナーとしてはこのくらいの距離が調度良い。彼女は平静に過ごしていた。

その日常は突然、崩れる。

***

「よお、ヒカル。奇遇だな。」
「、…キバナさん!」


翌日。ワイルドエリアから程近い土地のカフェテラスで一人、本を読んでいると前の席が若干乱暴に揺れた。眉をひそめて顔を上げると、そこには普段、半径2メートルは距離をあけているキバナが無遠慮に席についている。
驚いて目を瞬かせている内に、彼は慣れた様子で軽食を注文し頬杖をついた。


「外で会うのは初めてだな。一瞬、誰だか分からなかったぜ。」
「はあ…。まあ、オフですからユニフォームという訳にもいかないですし。お一人ですか?」
「ああ。散歩してたらお前の顔が見えたから入ってきた。お前、俺様にあんまり懐かないから興味あんのよ。」


太陽のように屈託なく笑顔を向けられて、彼女はその眩しさに冷静さを装えたか定かではなかった。懐いていないわけではないと思う。頻繁ではないが話はするし、ただ、何となく近付いて行かないだけだ。


「なんつーか、クールってか。SNSもやってないだろ、お前。」
「はあ、実名は出してないですね。」
「え、じゃあやってはいるのかよ?」
「はい。キバナさんの顔もよく流れてきてますよ。」


ちょうど運ばれてきたケーキをカットして、口に一つ放り込む。
美味しい。この店の、古いが暖かみのある雰囲気が彼女はとても気に入っていた。味も勿論、上等だ。
目の前の騒がしいジムリーダーがいなければもっと一人で堪能出来たのにと、ヒカルは内心ため息をついた。


「なんだよ、じゃあ教えとけよ。俺様のだけ知ってるのって不公平じゃね?」
「キバナさんは自撮りしたり勧んで目立つことしてるじゃないですか。私はスタジアムで強くなれればそれで良いので。あ、ここのお店の事、アップとかしないでくださいね。私、此処お気に入りなので無駄に混雑してほしくないんです。」


キバナが宣伝してしまったら、彼のファンがやって来て暫く落ち着かなくなってしまう。
返事がない、途切れた声に彼女がふと視線を上げると、戦闘モードの時のようなキバナの翠眼と視線があった。ぞくり、と肌が粟立つ。
何が気に入ったのか、彼の口元は笑っていて、ヒカルは少しの恐怖と強烈な色気に咄嗟に声を出せなかった。


「オッケー。じゃあデートでこっそり使いたいっつーことだな。」
「………だ、誰がそんな事を!私は、」
「いいじゃねぇか、いい機会だから仲良くしようぜ。俺様いい男だから何回か食事してたら好きになっちまうかもな。」


性質悪い男だな。分かってるなら止めて欲しい。
迷惑そうにヒカルがむくれるのが楽しいのか、キバナはうきうきと八重歯を見せて笑った。


「案外、可愛いやつだったのなーお前。」


ま、良いやつなのは知ってたんだけど。
ーーーーーーーーーーー
実はポケモンに対する誠実な態度を、
キバナは前から見ていた、的な。
ゲームはする時間がないので、是非アニメ化していただきたい作品です。
2019.12.22

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