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【それは一体幸か不幸か? 08 】






 光陰矢の如し、とはよく言ったもの。

 
 なんだかんだと騒がしい日々を重ねるうちに





――おれは大人になった。







 笹川との付き合いは結局高校卒業まで続いた。

 教師どもの策略で高校卒業まで同じクラスになり続けたんだ、どうにも逃げられなかった。

 そして馬鹿だ馬鹿だとは思っていたけど、気がつけば大怪我を負っているものだから救急箱を持ち歩くようになったのは嫌な思い出。

 しかも途中で青葉紅葉という馬鹿が増えて、おれの負担も倍率ドン。

 高校卒業まで二人まとめて勉強の世話をしたのは地獄だった。



 風紀委員長とも高校卒業までなんだかんだと縁が切れなかった。

 教師どもの代わりに応接室へ荷物を届けること数百回、気がつけば風紀委員会の雑用を言いつけられたり細々とした計算を任されたりヒバードの世話をしたり、おれ風紀委員じゃないのに・・・、と何度愚痴ったことか。

 心の中でな!

 まぁ草壁という友人もできたし、なんやかんやありつつお世話になってるから気にしないけど。

 いや、鈴木さんにまでおれが弱いこと教えたのは恨みますよ!風紀委員長!



 一つ下の山本たちとも、あいつらが高校卒業するまで交流は続いた。

 というか交流する後輩が増えてた。

 山本の時と同じで、野球部に入った水野へ事務連絡を伝えに行ったら自然と知り合ったのだ。

 類は友を呼ぶんだなー、と遠い目になったことは忘れられない。

 そして全員いい加減すぐに騒動起こすのはどうにかしろ。

 すぐに暴投する山本と水野のフォロー入れたり、ドジっ子コンビ沢田と古里の上着やズボンを縫ったり、SHITT-Pと獄寺の追いかけっこの巻き添えを食わないように交通整理したり、ナンパ中の加藤を鈴木さんに突き出したり

・・・・・なんでおれこんなことしてんだろー。



 ある意味数少ない癒しはランボと大山か。

 なんか最後までよくわからないけど、未来?のランボとやらによく遭遇しては泣いているのを慰めたり愚痴に付き合ったり飯を食わせたりした。

 小さい方のランボ?にも妙に懐かれて会う度に菓子をせがまれた。

 でもって我儘な小さい方のランボに振り回される大山を助けたり、二人まとめて遊んでやったり餌付けたり昼寝させたりとなんか保育士やってた気が・・・。



 保育士といえば、喫茶店の常連に赤ん坊が増えた時は複雑だった。

 リボーン+知り合いらしい赤ん坊=8人集った時なんかは、他の常連さんにマスターが連絡して断ったのかっ!?と聞きたくなるくらい貸し切り状態だったし、コーヒー専門の喫茶店だってのにコーラやらレモネードやらとメニューにない飲み物注文されるし、飯食わせろとうるさいし。

 その内幼い女の子から強面のおっさんまで出入りするようになって、客層がカオス状態だったな。



 知り合う人間が増える一方で、心配していた人間とは会えないままというのもあった。

 特に城島たちは結局再会できずに今日に至っている。

 なんとなくわかってはいるんだ、避けられてるって。

 あいつらの痕跡がそこかしこに見つかるのに、おれが近づこうとすれば離れていくのも感じられた。

 嫌われているわけじゃない、それもわかる。

 ある日変わった色のふくろうがパイナップルと肉と柿の種の詰め合わせを持ってきた時は笑ったし。

 まぁ元気でいてくれればそれでいい。



 元気でいるか不安なのはもう一人。

 いつぞやおれが看病した女の子“凪”だ。

 熱が下がった翌日にタクシー呼んで帰らせた後、おれは彼女の姿を見ていない。

 風の噂では猫を庇って車に轢かれて死んだと聞いて、それが有り得そうだからその時はうっかり信じて

・・・・・・数日後、部屋の前に猫の入った箱が置かれていて「私の代わりに飼ってください」というカードがあってホッとした。

 そして次があれば、頼れとは言ったがペット禁止のアパートに連れてくるのはアウトだと伝えてやりたい。

 引っ越したけどさ。






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