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【それは一体幸か不幸か? 07 】
おれの前には現れないと宣言した通り、城島たちはおれの前から姿を消した。
以前「この辺に住んでいるのか?」と訊いて誤魔化されたからどこに住んでいるのか知らないし、特定するつもりもおれから会いに行くつもりもなかった。
ただ別れて一週間はあいつらがいつ現れても大丈夫なように作り置きのおかずを用意して、二週目以降は長期冷凍できるものを作っては冷凍室に溜め込んでいた。
(・・・・一人暮らしだとそう食わないもんな。勿体無い・・・・)
消化が追いつかない時は学校の友達に食わせて、部活の仲間に差し入れて、マスターに渡して、たまにリボーンにもあげたりして消化した。
昔は胃袋底なしの弟たちが消化してたけど、イタリアにいる弟たちは所在不明であっちからの連絡待ちだから送りつけることもできない。
城島たちとは三日に一度会って数時間話したら解散していただけなのに、それでもおれの生活に深く根を張っていたらしい。
・・・・・・何かがぽっかりと空いた感覚に、おれはまだ慣れそうになかった。
(しかも最近物騒だからって部活は早く切り上げるわマスターにも追い払われるわ・・・・最悪)
聞く話によれば、並中生が次々と襲われているらしい。
廊下で偶然会ったリボーンが教えてくれた、曰く「よえーんだ、暗くなる前に帰れよ」と。
いやお前なんで学校に侵入してんの!と突っ込めず素直にうなずいた。
そして校門の前に立っていた風紀委員長にも教えられた、曰く「君、弱いんだから早く帰りなよ」と。
いやおれ以上にか弱い女子生徒にも言ってください!と突っ込めず素直にうなずいた。
弱いのは事実だけど、事実だけどさー・・・。
(おれだって好んで騒動に突っ込んでいくほど無鉄砲じゃないし、自分の実力を知っているから無謀なことは考えないでさっさと逃げる。だからわざわざ忠告されなくてもだな・・・!)
下校途中に立ち寄った商店街で、最近山本関係で話をするようになった獄寺を見かけた。
その後こそこそ走る沢田に、数十分の間を置いて沢田を追うように駆けていく山本も見かけた。
そういえば今朝から笹川の姿も見ていない。
馬鹿でも風邪引いたかなと思っていたけど、なんかあったな。
それもこいつら全員共通して。
(面倒事には関わりたくないんだがなー・・・・)
商店街で食材買い求めて、周囲の忠告通り真っ直ぐ家路についていると、前方にとぼとぼ歩く女の子の背中を見つけた。
気落ちしているだけなら気にしない、学校で何かあったんだろうと思ってスルーする。
でも足取りが変だった、何かふらふらしてる。
どこの家の子だ? この辺で見かけない。
・・・近くの子じゃないと気づいたら、放っておくことはできなかった。
後ろから声をかけたら驚くだろうから、横に並んで声をかけた。
長い前髪で影になっているとしても青ざめた顔、焦点の合わない目、突然現れたおれに驚く様子も警戒する様子もないことに心配が増して、空いていた手を掴んでそのままアパートに向かった。
彼女は抵抗しなかった。
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