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2010/05/02に【金烏玉兎の戯れ】で記載していました。



【それは一体幸か不幸か? 02 】






 なんとなくここが異世界だとは理解できるものの、前回飛ばされた戦国時代を舞台としたゲームの世界とは違って、おれはこの世界を知らない。


 けれどまぁ・・・なんとか無事に三年目を迎えているからよしとしよう。


 たまーに打撃音とか爆発音とか聞こえるような危険な町だけど、主要人物らしいのに関わらなければ問題はないだろうし。




・・・と思ってたのに、だッ!!




(・・・・恨むぞ、数学教師・・・・・!)


 腕の中にはそれまであったノートの山に代わってプリントの束とファイルが二冊。

 ノートを提出しに行って、未提出の奴らが減点されないように昼まで期限を延ばして欲しいと交渉を持ちかけたら、押し付けられたこのプリントとファイル。

 交換条件は教師に代わってお使いに行ってくることだった。



 応接室へ。



(助けを求めて担任に視線を向けたら即座に逸らされたし! くそっ、笹川たちにお節介かけるんじゃなかった・・・!)




 この並盛中学校で決して近づいてはいけない場所:応接室。


 そこは不良で統制された風紀委員の根城。


 『風紀』を掲げていながら指定のブレザーではなく黒の学ランを着ていたり、暴力で全てを解決させたりといった矛盾は誰も突っ込めやしない。


 何故なら並中だけでなく並盛町全体にしても風紀委員――正しくは風紀委員長に敵う者はいないからだ。




(群れ嫌いと聞くから・・・・・一人なら大丈夫、だよな、比較的。・・・群れてなくても、気に入らなければボコボコにされそうだけど・・・・・)


 ああ、うん、サレソウダ・・・・、と思わず遠い目。


 並中に入学してからというもの、何度、朝の服装頭髪検査で引っかかった生徒がボコボコにされる様を横目に通り過ぎたことか・・・。

 おれ真面目な生徒でよかった、超よかった。

 この中学校、週に一回は確実に救急車が呼ばれるんだぜ。



 今日は我が身ってかっ!!!?



(・・・・・・仕込みトンファーで殴られる瞬間には、満幸が降臨しそうだけどな・・・・)


 実の兄を異世界に飛ばすような弟だが、一応慕ってくれてはいるらしい。

 おれの認知に関わらず、身の危険が迫るとどこからともなく石が飛んできたり、晴れなのに雷が落ちたり、地震が起きたり、害そうと考える人間に悪夢を見せて精神的に追い詰めたりする。




 いっそ相手が可哀想だと哀れむくらいに。




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