今が一番幸せなんて笑う











うららかな青空。
その下で、一組の男女が街を歩いていた。

この町で一番の噂の2人。
アンソニーと、ソフィアである。

周りの者は、彼らの美しさに圧倒される一方、自然と笑顔になった。
2人が、あまりにも幸せそうだから。

ただ街を歩いているだけなのに、なぜあんなにも幸せそうなのだろう。

手を繋いで、ときどき顔を見合わせて笑って。

2人は、噴水の縁に腰を下ろした。

視線の先を、小さな子供が駆けていく。

「子供って可愛いものね」

ソフィアは目を細めて微笑んだ。

「…ああ」

笑い声混じりに肯定の意を返すアンソニー。
ソフィアは首をかしげた。

「?」

「いや、君があまりにもおかしなことを言うから」

「子供が可愛いというのが、おかしいの?」

「ふふっ、…そうではなくて、君自身は子供を望まないようだから、子供が嫌いなのかと思っていた」

「!」

ソフィアははっと思い至ったように顔を赤くし、ふふふと笑った。









「――さて、と」

傾き始めた太陽が、町を黄金に染めつつあった。

アンソニーは立ち上がり、ソフィアに手をさしのべる。

「ありがとう」

ソフィアはにっこりと笑って、その手を取って立ち上がった――瞬間。

「きゃっ」

ヒールのピンが滑り、背中から噴水にダイブした。

「ソフィア!」

アンソニーが手を引くが既に遅い。
彼もまた噴水の縁に膝下をすくわれ、

「うわぁっ」

正面から飛び込んだ。

「…」

「…」

バシャッと顔を上げて、顔を見合わせる。
お互いびしょ濡れだ。

しばらく肩で息をして、真剣に見つめ合う。

町が、黄昏前の黄金に包まれる。

通りかかった町衆が、みなこそこそと耳打ちし合い、微笑む。

2人も周りを見回し、顔を赤くしながら微笑む。

「ふっ、」

「ふふふ」

髪から雫をしたたらせたまま、2人はぎゅっと抱き合った。
周りから祝福に似た歓声が上がる。

「ソフィア、やはり、子供なんていらないよ」

アンソニーは彼女を抱きしめて、みんなの目の前でキスを贈った。


(永遠があるのなら)
(今が一番幸せなんて笑う)



Fin.




好きですアンソフィ。悲しいです。
名前変換忘れてる箇所があれば指摘してやってください。

2011.7.18

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