「トリック…オアトリート」
その日のソフィアはいつも以上に愛らしかった。
「トリックオアトリート!」
ふふ、と首をかしげて笑顔を浮かべるソフィア。
「お菓子かイタズラ、どちらがいい?」
「…君は、どちらがいい?」
「私は…どちらも素敵だと思うの」
穏やかに頬を染める彼女。
純粋すぎる笑顔。彼女の笑顔そのものが、どんな菓子にも勝る最高級の甘味だろう。
「お菓子、か…。残念だがソフィア、あいにく手持ちにはない」
「じゃあイタズラしてもいい?」
「なにをする気……うわっ」
冷たい液体。ソフィアの手に、シャンパンのボトル。
炭酸のはじける音を、一瞬遅れて耳が聞き取る。
「ハッピーハロウィン!」
ソフィアの楽しそうな声。
濡れて若干クセの伸びた前髪を払い、笑った。
なんだか可笑しい。
「君はとても理知的に見えて、時々とんでもないことをするな」
「楽しかったでしょう?」
その笑顔に邪気はない。本当に「いいことをした」と思っているのだ。
事実少し楽しかったのでそれでいい。おかげでびしょ濡れだが。
なにかお返しをせねば。
テーブルの上には赤のワインがあった。
グラスを手に取る。
「トリック…オアトリート」
首をかしげながら問うてみる。
ソフィアは驚いて首を振る。
「持ってないわ、お菓子なんて」
「それなら仕方がないな」
一口、液体を口に含む。
そしてそのまま彼女に口づける。
「!」
唇を通じて、赤色の液体を彼女に与える。
零れた液体が、彼女の唇を伝っていった。
喉が鳴る。
わざと音を立てて唇を離し、その零れた液体を指ですくった。
ソフィアは頬を真っ赤に染めていた。
「ハッピーハロウィン、ソフィア」
その愛らしい頬にキスをした。
Fin.
ウチのバカ! 更新停止って言ったのに!
…遅すぎるハロウィン記念第三弾、アンソニー編です。
お楽しみいただけたでしょうか。
いや、ほんと、もうあと数行だったんですよ…(言い訳
もうこれは、upしないと失礼だろ!と…(何様
そんな訳で…
き、キスでごまかしたとかそんなんじゃありませんよ!←←
いやいやものの見事に三作ともキス出てきますが…
ハロウィンだから…とか…言い訳…できないですねはい。
ごめんなさい。安易に頼りすぎました。
でも、それぞれの二人に合ったお話を書けたなあと、
自己満足してます←
レイトン夢はほのぼのとかわいらしさ、
デスコール夢はその微妙な距離感と欲の駆け引き、
アンソニー夢(アンソフィ)は幸せな恋人同士。
ううん…でも、まだまだです。
退化はしないように頑張りたいと思います…。
みなさま、ここまで読んでくださって本当に本当にありがとうございます。
それでは、良いお年を!
2011.12.29
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Professor Layton