非夢短編 | ナノ




誕生日の夜に

夜中に一人、綱吉は家を抜け出してみる。

なんとなくで出てきたから行き先はない。







歩きながら今日の出来事を思い出す。

己の家庭教師であるリボーンの誕生日でボンゴリアン・バースデー・パーティーを開いた。

今回は事前にしっかりとプレゼントを用意出来たのにはホッとしたし、

それぞれが持ち寄ったものはどれもが個性的で自分達らしかった。

最下位には死の罰だぞ、そう言い出したリボーンをとめるのには苦労したし、

途中でケンカが勃発したのには焦った。



呪いで成長しないリボーンは二年前の時と同じように一歳だと言い張っていて、

そこに少しだけ寂しさを覚えたけれど始終騒ぎに騒ぎ忘れた。






気づくと並森中の校門に立っていて、通学路を歩いていたのかと思うと不意に笑いたくなった。



正面にある時計に目を向けると針は既に零時を指していた。

今日の日付は10月14日。


(15歳になったんだ)



門に寄りかかって過去を振り返ってみる。

リボーンが自分をマフィアのボスに教育するとやって来て、

獄寺君が転入してきて、

山本と仲良くなって、


家族だけだった自分の世界がだんだん、だんだんと広がっていった。

毎日が慌ただしくて、危険を感じる時もしょっちゅうで、それでも毎日が楽しくて。





歩いてきた道を引き返す。


二年前の誕生日の日は病院で迎えた。

一年前の誕生日はリング争奪戦でそれどころじゃなかった。


今年はどうだろう?なんて期待してみる。

いや、そもそも覚えててくれてるのかなと心配でもあるけれど。




夜空を見上げたら星がたくさん見えた。

それだけだけど少しだけ嬉しくなる。



「いい一年になりますように」

きっと、また命懸けの危険が続々と押し寄せるだろう。

けれど、皆で笑顔で毎日を過ごせるならいい。

その為ならなんだってしてみせるから。





誕生日の夜に

朝。
「これでダメツナも一歩ボスに近づいたな」
「十代目、お誕生日おめでとうございます!」
「ハッピーバースデーなのな、ツナ」
「おめでとうなんだもんね」
「ツナさん、誕生日、オメデト」
「極限めでたいぞ!」
「ツナ君、誕生日おめでとう」
「はひっ、おめでとうございます!ツナさん」

「みんな、ありがとう」



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