13
「俺はキルア。あんたの名前は?」
童顔と背の低さによって実年齢よりも小さく見られることの多い綱吉だったが、明らかに目の前の少年、キルアよりは年上であるし、キルアだってそれは分かっていただろう。
それでもまるで敬う様子が見えないが、綱吉自身相手によるとはいえ目上の人間に対してぞんざいな態度をとることがあるし、綱吉の周りの人間にもそういう人が多いのでさして気にはならなかった。
「俺はツナヨシ。よろしく」
「おう」
綱吉は内心握手をするために手を出そうかと迷ったがやめた。
キルアは念能力者ではないようなので何らかの能力をかけられるだとかの心配はしていないものの、キルア自身が綱吉を警戒しているようだから手を出しても困ると思った。
「なあなあ、これあんたのペット?」
「ああうん。そうだよって、え!?」
キルアの目線はナッツに向いていた。
隠す必要性も無いからそのまま頷くとキルアの目が猫のように縦長くなった。
悪戯を考えてそうなその瞳に怯んだ次の瞬間にはキルアはナッツを抱き上げていた。
ばたばたと脅えたナッツが暴れてもキルアは手を離さない。
「これ、猫?」
「あー、そんな感じかな」
悪意は感じられなかったのでナッツには悪いと思いつつも苦笑して、質問には曖昧に答える。
ナッツは猫ではなく子供のライオンだ。
でも、あえて指摘することも無いだろう。
「試験にペットなんて連れてきていーのかよ」
「駄目ではないと思うけど。キルアだってそのスケボー持ってんじゃん」
「それもそーだな」
結局、サトツと名乗るハンター試験関係者が現われるまでキルアはナッツで遊んでいた。
[←] [×]
back