相反する立場 | ナノ




11

《side Mafiaboys》


「あ、でもー、そしたら犯人達はどーやってお金を運ぶつもりでしょー?あ、幻覚か」


ポンと手を打ちながらフランがサラリと口にした言葉にランボはぎょっとする。


「ん?幻覚ってなんだ?」
「幻のことですよ。実際にはないものが見えたりするんですよね。でも、何で幻覚でお金を運ぶってどういうことですか?」


元太と光彦の当然の疑問にランボは内心ちょっと焦る。

コナンは一言も聞き逃すかとばかりにフランに目を向けている。

そのフランもミスったと思ったのか本のちょっと表情を崩した。

ザマーミロではなくフォローしないといけないだろう。

要はコナン以外が納得すればいい。


「幻覚じゃなくって幻術、いや奇術、えーと手品のことだもんね!ほら、手品師っていろいろなものを消したり何もないところから取り出したりするやつ」
「…そうそうそれですー」
「あ、そっかー!犯人の中に手品上手な人がいればこっそり隠せるもんね」


なるほどと思いつき通りにコナン以外は騙されてくれた。

後で聞き出してやるとコナンからの無言の圧力を感じるのが怖くないけど気が滅入る。

小さい子はその子が納得しないとうるさくなることあるけれど、高校生ならすっとぼければいい。

ランボに本当のことを話す気はないのだから。

そして呆れたようにわざとらしくため息をついてからコナンが説明を続けた。


「んなわけねーだろ。おそらく支店長に多額の金をいったんどこかの口座にネット上で送り込ませ、それを自分達の口座に転送させる気だよ。日本から手が出しづらい外国の銀行にな」
「知能犯ですね」
「いーや、とんだトーシロだぜ」
「え!」
「仮にこの銀行から三億円外国に送金されたとしても、五百万円を超える送金目的の不明な金は法律上の規制がかかって、本部の外為センターでストップがかかる。一昔前はそんなことなかったが詐欺やマネーロンダリングが横行しているご時世だからな。おそらくこの銀行を襲う計画をしたのは随分昔で、メンツや武器を揃えるのにかなり年月をかけちまったってところかな」
「じゃあ、どのみち失敗する計画だったんですね」
「馬鹿だなコイツら」

縛った強盗犯の腰から拳銃を抜きながらコナンはそれを確認する。

それを危険だから機械見て預かろうとランボは考える。


「だが拳銃は本物。爆弾も恐らく。舐めてかかったら奴らのところに乗り込んで捕まえられねーぜ」
「乗り込むって」
「どうやって?」
「その銃で撃つのか?」
「いや、コイツは預かっておくだけ。撃たねーよ。ま、乗り込む時は堂々と大手を振ってかな」
「「「ええー!?」」」
「強盗犯三人もいるんですよ」
「撃たれちまうよ!」
「だーいじょうぶ。その時になれば奴等に俺らの姿は見えねーよ」
「その時って?」
「たぶん奴等は人質全員に聞こえるようこう叫ぶはずさ」
「くっそー!!こうなったら金庫ごと吹っ飛ばしてやる!野郎共手伝え!!」


怒鳴り声と銃声がカウンターの方から聞こえた。

まるでコナンの説明に合わせたかのようなタイミングに苦笑するしかない。


「実は盗聴でもされてんじゃないですかねー」
「されてるならこうやって俺らを泳がしたりなんてしないんだもんね。あの程度の小者なら俺らをさっさと捕まえにかかるんじゃない」


フランも呆れたように話しかけてくるから四人の会話を耳にいれながら返事を返した。


「叫ぶって」
「もしかして今の?」
「ああ。歩美ちゃんはエレベーターの扉を開けっ放しにして待ってて。元太とフランはエレベーターの前に置いてあった台車を一つ人質が集められているカウンターの所に。俺と光彦とランボは先にそこに行ってる」
「うん」
「分かりました」
「まっかせとけ!」
「分かったんだもんね」
「了解ですー」


解説は終わりらしい。

動くみたい、というか名を呼ばれたのでランボはそれに従おうとして、けれどその前にさりげなくフランの耳に口を寄せて忠告する。


「さっきの術士覚えてるだろ。たぶんこれとは関係ないだろうけど警戒しといて」


フランが頷くのを確認せずにランボはコナンと光彦を追った。




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