相反する立場 | ナノ




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《side Mafiaboys》


目に見て分かるほどの動揺を見せたコナンと哀の二人の様子に内心ホッとする。

正直怖かったと情けない臆病心がランボの胸を支配する。

少し前を歩く元太や光彦、歩美に仮面ヤイバーという子供番組のレクチャーを受けているフランが恨めしい。

こちらとあちらの漂う雰囲気が物凄く違うことが身に染みる。

というか、何故コナンはボンゴレを名指しで当ててきたのだろう?

ツナがFBIやCIA、ICPOそれぞれの上層部に今回の件について根回しを始めたから?

だとしても、その情報がコナンに伝わるには早すぎやしないだろうか。


「どうして、それを」
「やだよ答えない。君が俺の質問に答えてくれない限りはね」


ギッと睨んで訊いてきたコナンを一蹴しこちらの用件を突き通す。

意外なことに目を伏せ思案するコナンからではなく、彼を挟んで反対側を歩く哀から返事が帰ってくる。


「私が工藤君に教えたのよ」
「成る程ね。なら俺らがそのボンゴレだと判断した理由は?」


灰原哀、本名宮野志保が黒の組織の元一員だということは知っている。

曲がりなりにも裏社会に所属していると言えるその組織がボンゴレを知ってることに不思議はない。

だから、ランボが聞きたいのはそういうことではないのだ。


「数日前、とある組織の裏切り者が殺害された現場近くにいたんだ。その時、その組織の人間がボンゴレという名前を出していたからな」
「そう」


諦めたようにしぶしぶとコナンが語った内容はところどころ意図的に省かれたものだった。

けれどそれで十分。

後でツナに報告しようとランボは思った。

「今度はお前が答える番だ」
「いいよ。何が知りたいんだもんね?」


それにしても、これは心臓に悪すぎる。

なんで工藤新一ってこんなに怖いのだろう。

僅かなヒントで全てを推理してしまいそうで迂闊なことは言えない。

だが、すでにマフィアと言ってしまった以上、そして流石にもうそれを子供騙しではなく本当だとコナンが確信してしまっている以上、真実を隠しすぎてもいけない。

うまくうまく与える情報は与え、与えられない情報は与えず……、それをこの少年相手にやるのは骨が折れそうだ。


「聞きたいことはいろいろあっけど、…目的はなんだ?」
「それは君らに近づいた理由のこと?」
「ああ」
「なら簡単。護衛だって言ったよね。それに嘘偽りないよ」


それだけでもないけどとランボは心の中で呟く。


「命を狙われる理由は……分かっているんでしょ、工藤新一に、特に宮野志保」


今までの会話から予測範囲内なのか今度は余り動揺はない。

工藤新一は黒の組織の殺し損ねで宮野志保は裏切り者、このことが知られたら命を狙われるのは必須。


「それが、目的なんだよ。ああでもフランはあまり知らないよ。知らない方がいいとボスが判断したからね」


聞かれる前に会話を終わらせ更にフランに余計なこと聞くなと釘を指す。

コナンや哀が知りたいであろうことをフランは知らないけれど、万が一がないように。


「あともう一つ、俺ら本当は小学二年生なんだもんね。一歳くらいならバレないだろって。任務のために年齢隠してるけどバラすなよ」


本当のことなのに嘘だ、とでも言わんばかりの表情をされた。

江戸川コナンのペースに巻き込まれて子供らしい言動を取り払って会話していたからだと理由は分かる。

もしかしたら彼らのように若返ったのではないか?と考えてそうだったからこそ伝えたが、言わない方が都合が良かっただろうか?

実際はここではない別の世界で長い歳月を生きてきたからこそランボの精神が年相応でないだけであって、小学二年生というのは本当だけれど。

フランに関しては、年相応だと思う。

思考が危険なだけだ。


頭が痛い。

誰かこの役目を代わってくれないだろうかとランボは切実な気持ちでやれやれと呟いた。




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