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魔法界

意識を取り戻した時に最初に見たのは白い天井だった。

気を失う直前を思い出して、仲間に医務室に連れて来られたかと一瞬考えたが直ぐにそれを否定した。

見覚えのないカーテンに家具、誰か知らないがどこかの家に運び込まれたらしい。

体を見ると見覚えのない服を着ている。

知っている人の部屋か全く知らない人の部屋かを判断するために目に見える範囲を見渡して明らかな不自然さを感じた。

その不自然さは一体どこから来るのだろうかと見極めようとして、気付いた。

気づかないはずがなかった。


『気持ちわるっ』


小さく呟いた。

ここには“力”が満ちている。

己がそれを認識してから常に自分自身が纏っていると感じる力だ。

今まで生きてきた中で──少なくとも物心が着いた以降で──この不思議な“力”を感じたのは自分自身とおそらく両親が自分に遺したらしい宝石からのみだった。

それ以外の人からも物からも空間からも感じず、誰に頼ることも出来ないままにこれまで色々と試したりしつつ付き合ってきた力だ。

それがこの場には充満している。

幻術を習いたてに幻覚汚染に陥った時のような気持ち悪さを感じる。

ここは一体どこだろう?

何なのだろうか?



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