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元の世界にいたときに読んだ『ハリー・ポッターシリーズ』の物語では、1981年10月31日に起きたとある出来事のその後から始まる。
暗黒の時代と呼ばれた時代の終了だ。
名を呼ぶことさえ恐れられているヴォルデモート卿と名乗る闇の魔法使いがポッター家へ押し入り、そこの夫妻を殺し、けれどたった一歳の男児ハリー・ポッターだけが生き残り、ヴォルデモート本人は姿を消した。
その約十年後十一歳になったハリーがホグワーツに入学してからの七年間を綴った物語が『ハリー・ポッターシリーズ』だ。
最終的には『生き残った男の子』としてハリーは蘇ったヴォルデモートと戦うことになる。
それが私の知っていることだ。
ここは、その児童書の世界かもしれないと思っていた。
だが、ダンブルドアの話を聞く限り少し違うようだ。
ポッター夫妻には子供が二人いたらしい。
男女の双子。
そして、ヴォルデモートが凋落したその事件後、女の子が消えたという。
死体すらなく文字通り消えたのだと。
そして、この十年、誰もその女の子を見た者はいないのだと。
その子供の名はリアナ・ポッターといい、母親のリリー・ポッターとそっくりで目だけは父親のジェームズ・ポッターのものとそっくりだそうだ。
そして、それが、私だと、ダンブルドアは断言した。
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