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5

船の中は外装を裏切らずに豪華だった。

つれてこられたのはいかにもなパーティー会場。

天井にはシャンデリアのような電球があり、その下には様々な料理がテーブルの上に広がっていた。

たぶん、立食形式のパーティーだ。

ここに着くまでの間、俺達は結城が言っていたことは本当だったと知らされた。

沢田は信じられない程に出世し、獄寺と山本、それに笹川先輩もその部下だと言う。

まだ周りは大学、大学院などの学生とか新入社員とかばっかりな中で群を抜いている。

以前のような沢田のダメダメな雰囲気みたいなのはないし、獄寺は誰彼構わず突っかかるような猪突猛進さがなくなっているし、山本も爽やかさを残しつつも思慮深さのようなものを感じる。

信じたくないという気持ちもあるが、ここまで見せられると、信じるしかないという気持ちになる。

俺も、他の同級生も、せっかくの機会だと楽しむことに決めた。

元々恐怖の風紀委員会に支配され、時々沢田達の起こすめちゃめちゃな出来事に巻き込まれていた連中だ。

開き直りのコツは得ている。


「でもこれ本当にただで良かったのか?」
「いいんだよ。俺の仕事の都合も混ざってるからね」
「仕事?」
「うん。このあと中国でちょっとした会談みたいのが控えていてね。その移動手段だったり」
「今中国って言ったか!平気なのか?」
「ああ平気平気。その辺はちゃんと許可とってあるし、俺とお兄さんはそこで降りるけどそのあとはさっきの港に戻るからさ」


いろいろ言いたいことはあった。

けれど、言えたのは一言。


「あー、うん。忙しいんだな」


事の規模というかなんというか、別世界のようでついていけない。

もう驚く気にもなれない。

そうなんだよ、と言って沢田は大袈裟に肩を落とす。


「なら今は楽しもうぜ」
「当然そのつもり」


その後宣言通りに船はどこかの港に止まり、そこで沢田と別れ、そしてまた日本に戻った。

また、今度は“普通”の同窓会をしようと約束をして。



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