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6

部下が標的どもを連れ去ったのを感じてから目を開いた。

少しだけ気が抜けたのだろうか、手塚に不二、大石、菊丸、乾、河村、海堂が此方に駆け寄る。


「桃城、越前平気か!」
「俺は平気っすよ。けど」
「俺も何ともないっすよ。ただ、腰抜けちゃって…」
「うわっ、桃の奴情けないにゃ」


手塚の問いかけにリョーマは平然と、桃城は恐る恐る答えて、菊丸が茶化した。

ぜんぜん、いつもの雰囲気ではない。

誰も彼もが自分に、今のは一体何だと問いかけたくて、でも怖い、そんな雰囲気だ。

それは当然のことだろう。

特に桃城は人質に取られ、銃を向けられ、リョーマが人に向かって刀を奮うのを間近で見てしまったのだから。

ごまかすことは出来ない。

彼らには説明くらい聞く権利があるだろう。


「巻き込んですんませんでしたっ!!」
「ねぇ越前、さっきのは」
「今から言う二つのうちどっちかを選んで」


不二からの質問を遮り指を一本立てる。


「一つ目は巻き込まれてしまうことがあるかもしれないことを覚悟して今の説明を聞く」


もう一本の指を立てた。


「二つ目は、今のことを忘れて無かったことにして、何事もない日常に戻る。どっちがいいっすか?」


判断は彼らに委ねよう。

皆は思案するように目を合わせながらじっとしていて、静寂を破ったのは桃城だった。


「なあ、越前話してくれねーか」
「それでいいの?聞いてしまえば無関係ではいられなくなるっすよ」


今みたいな怖い思いをまたする可能性があると示唆する。

もちろんそうそうそんな目に合うことはないが。


「ああ」
「他の先輩方も?」


返事を促せば、次々と肯定の合図が返ってきた。

それを見て、少しだけホッとしたようなそうでないような息をついた。

どうやらリョーマも覚悟を決めなくてはいけないらしい。




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