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何が嫌かと問われるなら、この状況がだろう。
どこかの日本じゃ有名な財閥の開いたパーティーという名のコネクション作り場に参加しているということそのもの。
リョーマはそれに辟易していた。
「ホント何でこんなとこいなくちゃならないんすか?」
「自業自得でしょ」
「ならあんたもそうっすよ。雲雀さん」
「うるさいよ」
「はーい」
先日並盛に立ち寄ってしまったのが全ての元凶だ。
綱吉の用が終わった後トレーニングルームで刀を振っていた時にやって来た南国果実頭の術士なんて滅んでしまえ。
もちろんその媒介たる彼女は死ななくていい。
とにかく悪いのはあの変態だ。
暇なのかどうかしらない──いややっぱり暇なんだろうけど真剣に頑張っている人を言葉巧みにからかいムカつかせ苛つかせ、殺し合いに発展した。
そこにたまたまやってきたんだと思う雲雀も参戦して、うん悲劇だったあれは。
トレーニングルームの周りの部屋まで巻き込み破壊したリョーマ達を叱ったのは綱吉だった。
雲雀曰く彼はボス就任後くらいから──その頃はまだリョーマは綱吉と知り合ったばかりだった、黒くなってきたのだという。
開き直って仲間と敵への容赦が減ったそうだ。
とにかく、怖かった。
あと一歩で氷付けの刑にされるところだったのだ。
そして一通りお叱りの説教が終わった後に告げられたのは、このパーティーでの警護。
マフィアボンゴレの表向き会社の次期社長として綱吉が出席するパーティーだ。
それも雲雀とリョーマはずっとお互いに監視しつつ、中に留まっていろとのこと。
緊急時以外庭に出て休憩も駄目だとか地獄だろう。
その上雲雀は名家の御曹司、流石にこの場では雲雀も追い返しこそするものの暴れられないため、話しかけてくる人のなんと(雲雀にしては)多いことだ。
それを一々リョーマは待たなくてはいけない。
人混みにいなくてはならないことが雲雀への、マイペースにフラフラ出来ないことがリョーマへの罰なのだ。
六道骸への罰は一週間クロームと会話も入れ替わりもしてはいけないとのこと。
綱吉も六道が一番悪いと考えたらしくつまり、一週間誰とも交流出来ないというある意味過酷な刑を下した。
「あっでもまた今度相手して下さいっす」
「いいよ。そういうことなら歓迎するさ」
「炎も匣も無しで」
雲雀は強いからいつか絶対勝ちたいリョーマとしては戦う度に建物を壊して怒られるのは勘弁だ。
だから、炎も匣も無ければそうそう壊れないだろうと提案しながら不自然のないよう辺りを見渡す。
今のところ異常はない。
少なくとも綱吉やこのパーティーを害するような異常はなかった。
「げ」
ある一点で止まったリョーマの視線の先を訝しんだ雲雀もそちらの方を見る。
「何、知り合いでもいたの」
「まぁ」
リョーマが見つけたのは氷帝学園テニス部らしき人々だった。
そう言えば、そこの部長である跡部はこのパーティーに余裕でこれるくらいの財力を持つ家の出だった気がする。
気づかれては面倒だと目を反らそうとした瞬間に向日がこちらを見て指差したのは勘違いだといい。
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