光源氏計画

にょた晶馬注意、若干冠晶&冠陽要素あり

○光源氏計画

     晶馬視点


僕の双子の兄は女タラシである。顔は確かにイケメンと言われるような美形だし、元の性格はともかく、ええかっこしぃだからモテる理由はなんとなくわかる。しかし、あんまり女の子を乗り換えてばかりいたら、いつか絶対刺されるんじゃないだろうか。それはもう背後からざっくりと。

そんな冠葉の被害にあった女の子の中には、きょうだいである僕に泣きながら訴えてくる人もいるわけで・・・・

「ごめんなさい。妹のあなたに言っても仕方がないのはわかってるんだけど・・・・きっとこのままだと私みたいに冠葉くんに泣かされる子がいっぱい出てくると思うの。こんなの、冠葉くんにもあなたにもよくないわ。お願い、冠葉くんを止めてあげて!」

はいはい。言い方がいかにも冠葉のことを心配しています、フラれても好きだから・・・・みたいに言っているけど、要するにその悲しみと怒りを誰かにぶつけたかっただけでしょう。そんなにいい彼女だったと思われたいか。もういい加減、彼女たちの文句を聞くのにも疲れてきた。

「と、言うわけだから女遊びは自重して下さい」
「・・・・」
「兄貴、聞いてる?」

ついこの間言われた文句を冠葉にぶつけた。夜も遅い時間、陽毬はもう寝ている。

「俺が何しようと勝手だろ」
「あんまり勝手されると困るの」
「わかったわかった。善処する」
「ホントに?」

返事が投げやりで適当だ。馬耳東風、僕の言葉が右から左へ流れていっているのだろう。煩わしいと言わんばかりの表情をしている。

「そもそも、どうして一人の女の子にしないの?」
「別にどうだっていいだろう」
「よくないから聞いてるのに・・・・」

話す気はないようだ。ただの女好きってわけじゃないだろうし。

「複数の人と付き合うといいことがあるの?」
「あると言えばあるし、ないと言えばない」
「それ全然答えになってないんだけど」
「ほっとけよもう」

もうこの話は終わりだ終わり。そう言いながら冠葉は立ちあがり寝室へと向かう。結局、はぐらかされてしまった。これじゃあ何の解決にもならない。

「もしかして、本命が落とせないから他の女の子で遊んでるの?」

口から出まかせだった。冠葉は女の子を相手にさせたら、ほとんどみんなあっさりと落とす。本命がいたとしても、彼女を落とさないなんて奥手なことをするわけがないと思っている。だからこれは、僕の言葉を真面目に聞かない冠葉に対して、悔し紛れに吐いた八つ当たりだった。しかし、思いのほか的を射ていたようで、バッと冠葉が振り返る。目を驚きで大きく開き、口元は何か言おうとしているのか半開きである。

「・・・・え、マジで?」
「・・・・ちっ、ちげぇよバカ!」

否定の言葉を吐くも動揺で声が震えている。

「俺に本命はいねぇし・・・・いてもすぐに落とすから、ほ、他の女を代わりにしてるなんてことなんてねぇぜ」
「代わりにしてたんだ」
「だ、だから違うっつってんだろ!」

ストンと心につっかえていた何かが落ちた感覚がする。冠葉が理由もなく人を傷つけることなんかしない。わざわざ女の子たちにひどいこと言って別れたり、時々素っ気ない態度をとったりする冠葉の行動が、いままで腑に落ちなかったのだ。その理由がやっとわかった。

「そっか、本命いるんだ」
「晶馬!」
「あははは、そういうことだったんだ!」
「笑うな!」
「本命はどうしても落とせないツワモノなんだ?」
「・・・・あぁ、絶対無理」

う〜ん、冠葉みたいな女タラシは相手にしない人なのだろうか。それじゃあ絶対無理だね。

「光源氏みたいにさ、小さな女の子を自分好みに育ててみたら?」
「はぁ?」
「絶対無理なんでしょ?でも女遊びばかりされてたら僕が困るもん」

だから、光源氏が紫の上をなかば浚うように連れてきて育てたように、本命に似た子を連れてきたらいいんだ。犯罪だけど・・・・。なんて考えていたら、「心外だな」といって冠葉言葉をつづけた。

「自分好みに育てたことならある」
「はぁ!?」
「二人ほど」
「何やってんの!バカじゃないの!犯罪だよ!?」
「陽毬が起きるぞ」

シーッと人差し指を口の前に立てる。誰のせいだと思ってるんだ。ていうかいつのまに。

「一人は成功とは言い難いが、もう一人は完璧だ」
「じゃあその子と付き合えば?」
「無理なんだよ」
「どうして?」
「完璧に育ったのは陽毬だ。兄妹で付き合うのはマズいだろ?」
「え・・・・」

自分の妹で何やってんだこいつ。確かに陽毬は可愛いしいい子だし僕にとっても理想の妹。だけど、その発言には引いた。更に続いた言葉に僕は言葉を無くす。

「で、完璧とは言い難いのはお前だ。家庭的だがあとはダメだ」

ホントに何やってんだこいつ。しかも何気に失礼なことばかり言っている。

「・・・・」
「俺に女遊びをやめてほしかったらお前が相手することだな」

そう言い残すと、今度こそ寝室へと消えていった。僕はしばらく固まっていたが、ハッと我に返ると、夜中だということも忘れて思いっきり叫んだ。

「絶対嫌だぁぁぁぁああああ!!!」


おわる

多分、ペンギン来る前。
なのに陽毬ちゃんが入院していないので中学2、とか3年くらいだろうか?
時系列めちゃくちゃですみませんorz

2011.10/23

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