ユーフォリア

うたプリパロ2、気持ちにょたけ、兵助ルート

○ユーフォリア

「今から一ヶ月以内に新しい曲を作りなさい」

これが、卒業オーディションの直後に学園長から与えられた課題である。学園長が満足するレベルで仕上げなければならない。クリア出来なければニンジュツ事務所への準所属が取り消されると言う。所謂、大川学園の生徒としては最後の、事務所準所属者としては最初の試練であった。学園長先生にそう言い渡されたアイドル志望の久々知と作曲家志望の竹谷は、早速寮の部屋で話し合いを始めた。

「新曲か。ついこの間完成したばかりの卒業オーディション用の曲をしのぐものでなければ学園長は納得しないだろう」
「とりあえずテーマを決めよう。この前が豆腐への愛だったから・・・・兵助、今回は何がいいかな?」
「はっちゃんへの愛」
「ばっ!ばか!だいたい恋愛禁止なのに恋人になっちゃったペナルティなんだからなコレ!そんなの絶対だめだって!」

アイドルは恋愛禁止。これは学園入学当初から散々言われ続けてきたことである。しかし、互いを好きになってしまった久々知と竹谷は、反対する学園長に夢も恋も捨てられないと食い下がり、卒業オーディションで優勝したら二人の中を認めると言わせた。だがこれはあくまで優勝したら付き合っても文句は言わないと言う約束であり、準所属になることはまた別の話だった。優勝したのだから当然準所属にはなる。ただ恋愛をしながらそれに見合った実力が出せるのかをはかるために、今回のような課題を当てられたのであった。

「でもいま俺が歌いたいのははっちゃんへの愛だ」
「兵助・・・・だ、だけど兵助はアイドルなんだ。恋人がいるなんて知られたら兵助の将来が危うい」

恋人のいる新人アイドルは成功しない。これは当たり前のことだった。

「前にも言ったけど、俺がいるせいで兵助の夢を壊すようなことはしたくないんだ」
「はっちゃんがいてくれるから俺は夢を叶えられるのに」
「兵助」
「あぁわかってる。ごめん」

久々知はもどかしくてたまらなかった。竹谷の存在が自分を助け、歌をより良いものにし、より高みを目指すための原動力ともなると言うのに、それが世間では認められない。ソファの隣に座る竹谷の肩を抱き寄せて、頬にそっと口付ける。

「愛してるよ」
「・・・・兵助」
「誰よりも君が愛しい」
「っ!お、俺だって兵助のこと愛してる!」

それに嬉しそうに微笑んで、久々知は竹谷を抱き締めた。

「恋人が、はっちゃんがいても大丈夫どころか、はっちゃんがいるから俺は大丈夫なんだって学園長に示したい」

竹谷のボサボサ髪に顔を埋め、つむじにチュッとキスを落とす。

「卒業オーディションだって、豆腐を心から愛していたからこそ、優勝できるくらいいい歌が歌えたと思ってる」

顎に手をそえ、竹谷の顔をクイッと自分の方に向けた。真っ直ぐにその目を見つめる。

「だから、やっぱりこの気持ちを歌うのが一番いい歌が歌えると思う。それで学園長、いや、もう社長と呼ぶべきだな。社長に認めさせるんだ」
「そっ、か・・・・」
「ふふっ、はっちゃん顔が真っ赤」
「だって、なんか顔近いし・・・・」

それに、言ってることが恥ずかしい。と続けた。

「照れてる顔も可愛い」
「もうやめてぇ」
「ふふふっ」

恥ずかしいと顔をそらそうとするも、久々知に顎を掴まれているためできない。口にキスをされて竹谷はとうとう観念した。

「わかった。兵助がそれが最善の策だって言うならそれでいい」
「はっちゃん」
「曲調はどんな感じがいいか」
「そうだね。卒業オーディションが爽やかで和風な感じだったから、今度は演歌風かな」
「ちょっと待て」

竹谷が止める。

「何で俺、だんだんソファに押し倒されてるんだよ。あと演歌つったか今。お前、演歌を歌いたいのか?」
「アイドルと名乗って演歌を歌うとか、斬新で悪くないと思うんだけどな。押し倒されてる理由?野暮なこと聞くなよ」
「まだ話し合いも途中っ、こんな時に盛るな!」
「はっちゃんが可愛すぎるのが悪い。豆腐より愛してるんだ。愛の力で社長に勝とう」
「〜〜〜〜〜〜〜っ!ばーか・・・・」

兵助はすっごくカッコいい。大好き。と竹谷が小さく呟いた言葉が耳に入ったとたん、久々知は目の色を変えた。

おわり

( 」´0`)」あまーい。

2012.6/15

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