ファミレス談義

CP無し

○ファミレス談義

雷蔵視点


ファミレスのメニューは、どれもこれも、不味くもないが美味くもない。家庭で作るものより見た目は綺麗に仕上がっているけれど、どこか味気ない。安いようで高いし、高いようで安い。安すぎてこれは本当に食べても大丈夫なのかと心配になる。と、このようにいくらでも似たような文句は出てくるが、それでも、何かしらのお気に入りはあるようだ。

「チーズインハンバーグのセットかな」
「刺身和膳」
「お前らいっつもそれだな」

真っ先に決まるのは八左ヱ門と兵助だ。だいたい毎回おんなじものを頼んでいる。

「だって肉食いたいし、とろとろチーズうまいし」
「冷やっこついてるから」

理由も毎回変わらない。次に決まるのは勘右衛門。食べたいものがたくさんあるようで少し悩むけれど、彼は割りと大食らいなので、結局いつも二品以上頼んでいる。

「じゃあ俺は、オムライスとカルボナーラとカキフライ単品とチョコパフェで」
「相変わらずよく食うぜ」

三郎は毎回悩んで決められない僕を待っていてくれる。 今日も・・・・

「雷蔵、何で悩んでるの?」
「たらこスパゲッティと和風ハンバーグ」
「だったら俺がたらこスパゲッティ頼むから、雷蔵は和風ハンバーグにしなさい。半分こしよう」
「いいのかい?」
「もちろん!」

悩み過ぎて決められなくなる僕を助けてくれる。ちゃんと三郎は、自分の食べたいものを食べられているのだろうか。以前、気になって尋ねてみたら、自分も決められないから、雷蔵と半分こで助かる、と言われてしまった。その場に居合わせた八左ヱ門曰く、僕に尽くすことが三郎の悦びだから、享受しとけばいいそうだ。というわけで、結局今もその好意に甘んじている。

「みんな決まったな。雷蔵、ベル押して」
「はーい」

ピーッと小さな音がする。ベルを押して一分もしないうちに店員さんが来た。

「カルボナーラとオムライスとカキフライ単品とチョコパフェと刺身和膳とチーズインハンバーグのセットとたらこスパゲティと、和風ハンバーグもセット?」
「あ、うん」
「じゃそれのセットお願いしまーす」
「かしこまりました」

勘右衛門が注文すると、彼の大食漢ぶりを知っている僕たちは、それ全部食べても不思議じゃないなと思ってしまう。店員さんが注文の確認をして立ち去った後、そういえば、と兵助が口を開いた。

「この前テレビでさ、ここのファミレスの料理の秘密に迫る、みたいな特集をやっていたんだが」
「あ、俺それ見た」
「へー、どんなん?」
「皿に盛り付けたり、ソースそなえたりするのは人がやってたんだけど、あとは全部機械がやってた」
「工場とかもな。肉切るのとかめっちゃ早ぇよ。タタタタタターンッ!ってぐるぐる回って」
「ハチの説明じゃいまいちわからん」
「どゆこと?」
「だからぁ、刃がこう回ってな・・・・」

腕を回して一生懸命に説明している。お店に、工場で機械に切られた肉や、製造機で形作られたハンバーグが運ばれてきて、それを機械が綺麗に焼いているのだそうだ。八左ヱ門の大好きなチーズインハンバーグも、テレビのリポーターが製造機から出されたものを半分に割ったら、中にたくさんチーズが入れられた状態だったらしい。そうやって中にチーズを入れていたんだね。チーズで肉の量を誤魔化していた、と頼んだ本人は爆笑していたけど。

「チーズの分、肉少なくなってるのにいいの?」
「いいの!だってうまいから!」

いいんだ。八左ヱ門、だんだん七松先輩に似てきたなぁ。

「でもそっか、僕たちってわざわざファミレス行って機械が作ったもん食べてんだねぇ」

人の手作りご飯とはまた違った美味しさはあるけれど、そう思うとなんか変な気分になる。一人でうんうんと頷いていて、ふと気付いた。みんなの反応がない。顔を上げたら、みんな微妙な顔をしていた。

「どうかした?」
「いや、雷蔵・・・・いまの言い方、トゲがあったぞ」
「ちょっとむなしくなっちった」
「みんながあえて言わなかったことを・・・・」
「だがそこが良い」
「黙れ三郎」
「次はファミレスじゃなくて、手作りしてる定食屋さんでご飯食べような」

兵助がそうしめたところで料理が来たので、話は終わったけど、あれ?僕なんかまずいこと言った!?

おわり

一回データぶっ飛ばしちゃったんで、だいぶ後半はやる気なかったです。
ファミレスおいしいですよね。
大好きです。

2012.5/8

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