ただのバカップルだった:EMA様

※激しいキャラ崩壊と捏造。

※色々おかしい。



以上がダメな方は回れ右ですよ!





*


【ただのバカップルだった】





どうやら黒子テツヤには恋人がいるらしい。

夏休み入った頃からだった。
部活が終わると一目散に部室に走る黒子。
エネルギー切れで倒れていたとは思えない機敏さに、初めて見た時は目玉が飛び出るんじゃないかという程に目を見開いたもんだ。

しかし、日向は知らない。
黒子の恋人が一体誰であるかという事が。







夏休みの課題を早めに終わらせようと、火神と2年レギュラーを引き連れ、都内某所の図書館へと向かった時だった。
普段は影が薄く、偶然街で出会すなんて考えられない人物を、一同は目を疑う様に凝視した。



「く…ろこ…?」



「あ。火神くん。…と先輩達もお揃いでお出かけですか?」



猫耳フードの黒のパーカーはまだ良い。
俺たちが黒子に気が付いたその原因は…



「え…と…それって、首輪だよな…?」



伊月が震える手で指差した先にある、藤紫の太い首輪。
オシャレ用にせよ、黒子が付けてるイメージが湧かない。
それが異様な存在感を放ち、透明少年の黒子を目立たせている。

そして、黒子はというと…



「ボクがあの人のモノという証に付けてくれたんです…」



と、嬉しそうに頬を赤らめていた。

ちょっと待て!

おかしいぞその台詞!!!!



「あのさ…大丈夫なのか?その彼女…」



小金井グッジョブ!俺が聞きたい事を黒子に言った小金井に、心で親指を立てた。



「彼女じゃないです。彼氏です」



「は…?」



火神がピシリと硬直した。
俺たちも理解が追い付かず呆然とする。
黒子は首輪撫でながら、失礼ですね。
なんて頬を膨らませていた。

彼氏…?彼氏と言ったか?



「すみません皆さん。そろそろ行かないと、待ち合わせに遅れてしまいます…」



俺の脳が現状を把握する前に、黒子は時計を見て困った顔をして発言した。

そうだ、ここは街の往来だし、立ち話して黒子をこれ以上留めるわけにもいかない。

彼氏…については明日の部活の時間に聞くことにしよう。

俺はそう決めて、黒子に道を譲るよう、部員に指示を出した。



「遅刻したら、監禁と色々お仕置きされてしまいますから、助かります。では」



ぺこりと頭を下げて足早に立ち去る黒子の捨て台詞に、俺たちは顔を見合わせた。

おかしな単語が聞こえた。
監禁?
お仕置き…?
ちょっと待て!
その彼氏危険だろ!!
つか首輪の時点でおかしい!
だめだその恋人!!
黒子超逃げて!

呼び止めようと振り返った時には既に黒子の姿はそこに無かった。

「黒子ってホモでドM…?」



「こら!コガ!思ってても口にすんな!だあほ!」











*











「俺の顔に何かついてるか?」



黒子の熱視線に耐えられなくなった木吉が、苦笑いして声をかけた。



「木吉先輩ずるいです…」



ジト目で木吉を睨む黒子に、俺は昨日の事もあるので、話を聞きに近付いてみる。

流石にあの犬の首輪みたいなアレは、部活には付けて来ないようで安心した。

まさかあの黒子の恋人が男で、お仕置きと称して監禁とか…所有印として首輪を付けさせるドS属性のヤバイ人間だとは思わず、昨日は皆課題どころではなく動揺していた。



「ボクだって………さんに壊されたいのに…」



ボソッと呟いた黒子に、俺は言葉を正しく聞き取れず、首を傾げた。
今、恋人の名前言わなかったか…?



「ごめん黒子。今なんて…?」



木吉も聞き取れなかったのだろう、もう一度言ってくれと話を促していたが、黒子は目をしっかり閉じて、開いた時にはいつもの無表情に戻っていた。



「なんでもありません」



「そうか。わかった」



馬鹿に真面目な木吉は何故かそれで納得して、席を外してしまった。
え?そんなんで納得出来んの!?つか俺を置いてきぼりにすんな!

ふと視線を感じて振り向けば、水色の大きな瞳が俺をじぃっと見つめていた。



「何かご用でしょうか?」



「いや…用ってほどの事じゃねーんだが…」



木吉が居なくなっても立ち去らない俺に、意図を勘づいた黒子が図星をついてきて、俺は言葉が定まらない。

早くしなければ休憩は終わってしまう。
どう聞いたものか…思考を巡らせていると、黒子にシャツの裾を掴まれてまたそちらを向く。



「ボクの彼氏の事でしょうか…?」



「え!?いや…まぁ…どんな人なのかなぁ…と…」



言葉を濁したら何故か黒子は目を輝かせた。



「聞いてくれますか!?ボクの大好きなあの人の話をっ!!!!」



未だ見たことのない程に興奮した黒子に圧され、俺は思わず頷いてしまった。

ノロケ話がそんなにしたかったのだろうか、俺に許可を得た途端に、いつもの無口からは想像出来ない程の饒舌で黒子は語り出した。



「彼に出会ったのは桐皇に負けて傷心なうなあの頃です!
そんなボクが少し離れたストバス場でバスケットボールと戯れていた時に、彼は落としたボクのボールに触れてこう言いました。
"忘れものか?"ええもう影が薄いボクを認識してるとは思いませんでしたがね!
やっぱりちょっと寂しいですよね!なので、"それ、ボクのです。"と声をかけたらメチャクチャ驚かれました。
そんな驚いて目を見開いて口まで開けてるのに、それでも分かる位に彼は美形で、ボクもびっくりしちゃって…ええもうボクの好みのイケメンだったんですよ!
黄瀬くんなんか目じゃないです!切れ長のつり目に笑えば柔らかに、睨めば鋭く、その両面を持ち合わせて嘲笑う表情が一番好きですっ!
ああ、話が脱線しましたね。彼はボクの影の薄さに…」



「ちょちょちょ!!!!ストップストップ!!!!」



話の終わりが見えず、俺は焦って黒子の目の前に手のひらを出して静止するよう呼び掛けた。

冷静になって回りを見渡すと、部員全員が黒子と俺を囲って話を聞いていたらしく、黒子のマシンガントークに度胆を抜かれているようだった。



「まだ馴れ初めまで話してませんが…」



まだ話し足りないのか、黒子はウズウズしながら、俺をちらちら見ている。
いや、見られても困るんだが…



「馴れ初めはまた今度聞くから、…えっと…彼氏は優しいか…?」



とにかく、ドSな彼氏であるなら、黒子に危害が及ぶ可能性もあるし、その辺りを聞かねばならないと、俺は質問し直した。

黒子は少し残念そうにしていたが、また彼氏の事を話せるからか、嬉々として答えてくれた。



「優しいですよ。ボク限定ですが。彼はボクをべたべたに甘やかせてくれるんです」



あれ?なんか想像してたのと違う…

首輪とか監禁だとか物騒な事ばかり頭に入ってたから、勘違いしていたかもしれない。
黒子が幸せならそれでいいじゃないか。
よし、暖かく見守ろう。

そう決意して俺が口を開こうとしたが、またスイッチの入った黒子のマシンガントークに遮られてしまった。



「彼とは趣味の読書とバスケが共通点なのですが、本の好みがボクの範囲外だったんですよ。
でも彼にお勧めされて、試しに読んでみたところ、これが非常に面白くて、新しいジャンルにも手を出すようになりました。
面白いんです。拷問日記。バスケでの彼のプレーは好ましくありませんが、難しいシュートを簡単に入れたりと、素晴らしい方なんです。
この前、彼の家に泊まった時の話ですが、ボクの為に檻を用意して下さいまして、足枷を嵌めて薄暗い部屋でたくさんの言葉責めをいただきました。
もうあの低音で"俺なしじゃイけない身体にしてやるよ"なんて言われて、ボク…昇天するかと思いました。その日は色々な体位で…」



「ちょぉおおおおおっ!!??黒子っ!!!!ストップ!マジでストップ!!!!」



段々と雲行きが怪しくなってきた話の内容に、俺は急いで黒子の口を両手で塞いだ。



前言撤回!!

明らかにSMプレイを楽しんでるであろう黒子の将来が心配でならないし、そういった危ない性癖は怪我にも繋がりかねない。

夏まではあんなに純粋だった黒子をここまで変えた奴に制裁を加えねばならないだろう…

俺はそう決意して、疑問符を浮かべる黒子の肩をしっかりと掴んだ。



「主将命令だ!今度、お前の彼氏を紹介してくれ!」



必死の形相であろう俺を、リコが引き気味に見ていたが、この際気にしない。



「あ、たぶん会えますよ。ウィンターカップで」



この黒子の一言に、嫌な予感しか覚えなかったのはきっと俺だけじゃないだろう。











*











そして時は過ぎ、ウィンターカップを向かえた俺たちは、会場の入口で硬直していた。



「会いたかったです!」



「寂しい思いをさせたな…ほら、顔あげろ」



噂の彼氏を会場で見つけた黒子は、一目散にそいつに飛び付いた。
その彼氏も、両手で抱き寄せ、胸に顔を埋める黒子の後頭部に何度もキスを落としていた。

噂の彼氏が身に纏うのは、憎き霧崎第一のジャージ。
あの特徴的な眉毛は忘れもしない悪童そのものである。



「花宮が彼氏だったのか〜」



のんびりと言う木吉に苛立ち、脇に肘を入れてやった。
いいところに入ったのか、痛そうに悶絶しているが気にしない。



「真さんに逢えない時間が苦しくて、死んでしまうかと思いました」



ぱっと顔を上げた黒子の頬を両手で包むと、花宮はその唇を自らので塞いだ。
いわゆる正真正銘のキスだ…が…ちょっと待てお前ら!!
公衆の面前だし入口だから注目の的になってんだけど!?

混乱する俺たち誠凛とは違い、霧崎第一の面々は「ほどほどにしとけよ〜」なんて言って、会場奥へと行ってしまった。

え?なんで日常風景として処理してんの?



「ぷはっ!はぁっはぁ…」



長い接吻で息を切らした黒子が、フラリと後ろに倒れるのを、花宮が左腕で抱き止めた。



「ふはっ!この位で酸欠起こしてんじゃねーよバァカ。」



至極楽しそうに嘲う花宮の顔を見て、俺は大事な事を思い出す。

突然の展開に呆気に取られていたが、黒子の彼氏があの花宮真なのはよろしくないだろ!
あの汚いラフプレーで木吉の足に大きなダメージを与えたゲス野郎だ。
それに、以前黒子が言っていた監禁だの何だのってーのも、花宮だと分かると、余計に危ない気がする。



「アイツ…何か企んでるんじゃないでしょうね…」



ボソッとリコが呟いた。
その眉間に皺を寄せて、花宮を睨みつけていた。

花宮は滅茶苦茶頭が良いんだ。
それも計算づくで黒子に手を出した可能性もある。
まだ一年にも満たない出来立てホヤホヤのカップルだ。
花宮の正体が分かれば黒子だって気持ちが冷めるだろう。



「あぁっ!真さんっ!やっと貴方と試合出来るんですね!」



また花宮の腰に抱きついた黒子に、相棒である火神が動揺のあまりその場でスクワットし始めた。
うん、お前まじ落ち着け。
降旗が火神の奇行に更にパニック起こしてるじゃないか。



「ボク…真さんに壊されたいですっ!」



火神のスクワットを止めるべく、歩き出した俺は、黒子の問題発言にカチンと身体が凍った。

え、え、え…?



「馬鹿な事言ってんな。俺がテツヤを傷つけるわけねぇだろ」



「真さん…でも…」



しかも花宮が止め始めた!?
どゆこと!?
え、黒子…花宮のラフプレー知ってて…え?え?

納得してない黒子がぷくっと頬を膨らませていると、花宮が苦笑して、その膨らんだ頬を撫でた。

そして、花宮が黒子の耳元で囁いた台詞は、聞きたくもないのに、俺の耳に届いてしまった。



「…ベッドの上ならいくらでも壊してやるよ」



ぞわぁっと鳥肌が立った。
女ならイチコロじゃねぇの!?と思える程の腰にくる低音に、ノンケである俺らでさえ、つい赤面してしまった。



「真さんっ…好きです!愛してます!ボクをメチャクチャに壊して下さいっ!」



カアッと一気に顔を赤らめた黒子は、花宮の首の後ろに腕を絡め、食らいつくように唇を奪った。

うわあ…誰かあの二人を止めてくれ…

アイツらの後ろを通りかかった緑間が、驚愕のあまり、誤って眼鏡を落としたぞ。
隣にいた高尾がすかさずキャッチしたので大事には至らなかったが…。

そんな大衆には目もくれず、水音を立てて貪る黒子を花宮が肩を掴んでひっ剥がした。



「あ…真さん…?」



まだキスが足りないのか頬を上気させた黒子が、不安そうな目で花宮を見つめている。
それを真っ直ぐに見返した花宮が、にやりと口角を上げた。



「許可なく俺にキスした悪いコには"お仕置き"が必要だなァ?」



「やっ…真さんっ!」



"やっ"とか言いながらも、明らかに期待の眼差しを向ける黒子に、俺は突っ込む気力が完全に失せた。

花宮の企みとか、そんな事はもう疑うのもやめた。
だってコイツらあれだろ?もういいじゃん放っておこう。



「愛してるよ。テツヤ。お前を監禁してめちゃめちゃに犯して、俺だけをその瞳に映したい」



「愛してます。真さん。貴方にぐちゃぐちゃに壊されても構いません。むしろ壊して下さい」



言ってる事は病的でも、相思相愛。







だからほら…



ただのバカップルだったろ?











【おわれ!】





***

いつもpixivでは甘々の花黒ちゃんを書かせていただいてるので、今回は別の意味でゲロ甘にしてみました^^;

国語力皆無の駄文で失礼いたしました。





EMA





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